2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
世良 貴史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10362443)
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Keywords | iPS細胞 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
山中先生の画期的な研究により、たった4つの遺伝子を体細胞へ導入するだけで、多分化能を有するiPS細胞の作製が可能となった。これにより、患者本人の細胞から必要な組織あるいは臓器を再生し治療に用いるという夢の医療技術開発への道が開かれた。しかしながら、iPS細胞の作製効率は1%未満と低く、この技術の実用化のネックとなっている。当然のことながら、体細胞の分化した状態を維持するメカニズムが存在するからである。最近山中らにより、ガン抑制遺伝子のp53をノックアウトすると、4つの遺伝子の体細胞への導入によるiPS作製効率が20%くらいまで上昇することが報告された。しかしながら、p53遺伝子をノックアウトすると恒常的にがん抑制遺伝子であるp53が発現されなくなり、そのためガン化しやすくなり、安全性で問題となる。そこで、本研究では、従来の作製効率をさらに上昇させるために、新たな手法を開発することを目的とする。本年度ではまず、ゲノムデータベースを用いた詳細な解析により、標的サイトの探索を行った。多数リストアップした候補の中から、当研究室において蓄積された情報に基づき、最終的に有望な上位3つのサイトに絞り込んだ。それぞれのサイトを標的とする分子のデザインを完了し、現在それらの合成を行っているところである。それぞれの分子を精製し、基本性能を生化学的および分子生物化学的な手法で評価した後、iPS細胞の作製効率の評価を行なう計画である。
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