2010 Fiscal Year Annual Research Report
フシコクシン誘導体による14-3-3たんぱく質の細胞内可視化
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22655055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大神田 淳子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50233052)
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Keywords | 14-3-3たんぱく質 / フシコクシン / 蛍光プローブ / たんぱく質-たんぱく質相互作用 / 抗がん活性 / リン酸化ペプチド |
Research Abstract |
リン酸化ペプチド鎖に結合する14-3-3たんぱく質は、細胞内信号伝達経路のたんぱく質-たんぱく質間相互作用にて重要な役割を担っている。一方、ジテルペン系天然物フシコクシン(FC)誘導体ISIR-042は、がん細胞に対する分化誘導活性を有するなど特異な抗がん活性を持つことから、その作用機序の解明が急務である。本年度はコンピューターモデリングに基づいて、14-3-3たんぱく質のHis164を標的とする標識化剤を合理的設計し、ISIR-042にトシルリンカーを介して蛍光基DansylもしくはBOD PYを連結した標識化剤の合成を完了した。14-3-3たんぱく質に対し、標識化剤とリン酸化ペプチドを用いて種々の条件下でラベル化を試みた。14-3-3、標識化剤、リン酸化ペプチドを含む緩衝溶液を35度で24時間振とうしたのち、反応混合物をSDS-PAGEにて分離、蛍光およびCBB染色にて可視化した。その結果、期待したように、14-3-3たんぱく質の蛍光ラベル化反応はリン酸化ペプチド共存下において効率よく進行し、リン酸化ペプチドを加えない場合には全く進行しないことが明らかになり、ラベル化反応が3者会合体形成によって引き起こされることが支持された。Mass解析から、蛍光ラベル化は1:1の量論比で進行し、またその効率は37%であることも確認した。また、この反応はHis164を持つζ-isoformに特異的であり、Asn残基を持つσ-isoformに対しては起こらないことから、ラベル化反応がHis164に位置特異的に進行することが強く示唆された。このことは、His164Ala点変異体を用いるとラベル化反応が全く進行しない実験事実から証明することができた。以上、本年度は14-3-3たんぱく質に対して位置特異的かつリン酸化ペプチド依存的に、蛍光ラベルを導入する標識剤の開発に成功した。次年度は細胞内標的たんぱく質の標識化に焦点を当てる。
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Research Products
(3 results)