2010 Fiscal Year Annual Research Report
発光・発色選択可能型デュアルモードディスプレイの創製
Project/Area Number |
22655060
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 範久 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (50195799)
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Keywords | ディスプレイ / 電気化学 / 反射型・発光型 / 電子デバイス・機器 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
夜間は発光型,昼間はメモリー性を有する反射(非発光)型を選択できるデュアルモードディスプレイ(DMD)は,視認性,省エネルギー的にも有利であり,その実現が期待されている。本研究では,素子駆動方式として交流と直流を使い分け,単一のセルでありながらも,発光(交流電気化学発光:AC-ECL)と発色(直流電気化学発色,エレクトロクロミズム:EC)を選択的に発現できる全く新しいタイプのデュアルモードディスプレイ(DMD)の開発基礎研究を行った。 まずAC-ECLの駆動原理や直流に比べた優位性を定量的に評価するため,応答性や輝度特性ならびに交流一周期内での電極反応について議論した。直流に比べ100倍以上の高速応答と30倍以上の輝度特性を得た(発表論文1)。この成果を基に,一対の電極の一方にマゼンタ系の発色を示すテレフタル酸誘導体EC材料を,またもう一方にAC-ECLを示すRu錯体を修飾した電極系を用いて簡単なDMD素子を作成した。直流4Vを印加することで,テレフタル酸誘導体の還元に基づく発色が認められ,またこのときにはRu錯体からの発光は認められなかった。一方,交流50Hz,±4Vの矩形波をセルに印加した場合にはRu錯体層からの明確な発光が認められ,また交流印加時には発色は認められなかった。以上のことはセルが設計どおりデュアルモードディスプレイとして機能していることを示唆している(発表論文2)。さらにはAC-ECL層の発光色の検討,ならびにEC層のコントラストを上げるため,導電性高分子の活用を行っており,基礎的な結果からそれらを用いてもDMDとして機能することが明らかとなっている。これら二つの反応を効率よく進行させるため両電極での電極反応をそれぞれ定量的に検討することを意図している。
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