2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70214377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 正浩 香川大学, 工学部, 教授 (90262287)
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Keywords | 液晶材料 / 自己組織化 / 有機半導体 / 刺激応答性材料 |
Research Abstract |
本研究は、力学的刺激に応答する有機半導体の開発を目指している。平成22年度は、力学的刺激に応答する液晶材料の合成と液晶性を検討した。 せん断などの力学的な刺激に応答して構造変化を起こす液晶材料は、水素結合部位、π共役系発光性コア部位と外縁部に長鎖アルキル基を持つベンジルエーテル型デンドロンからなり、分子間に複数の弱い相互作用が競合している。また、大きなπ電子共役系を導入することにより、電気伝導性を付与することができる。このような分子設計指針に基づき、ベンジルエーテル型デンドロンを、アミド結合を介して導入したビスフェニルエチニルビチオフェン誘導体、および、ビスフェニルエチニルクォーターチオフェン誘導体を合成した。大きなπ電子共役系を有するビスフェニルエチニルビチオフェン、および、ビスフェニルエチニルクォーターチオフェン部位が電気伝導に寄与し、デンドロン部位とアミド部位が分子凝集状態を制御する役割を担う。これらの液晶材料は、室温でも結晶化することなく、キュービック相を示した。また、せん断変形を加えることにより、カラムナー相への構造変化が起こった。その際に、蛍光色も黄緑色から青緑色に変化することを見出した。蛍光特性の変化は、分子間のπ電子共役系の重なりの変化によって引き起こされているものと考えられる。この分子凝集構造の変化を利用することにより、構造相転移に伴うキャリア移動度や光導電性の制御も可能になるものと期待できる。
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