2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655063
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
南任 真史 独立行政法人理化学研究所, 表面化学研究室, 専任研究員 (90300889)
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Keywords | 自己組織化 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 物性実験 / 磁性 |
Research Abstract |
本研究では、直線的な単原子ステップが平行かつ均一に走る金属単結晶の微傾斜面上に、炭化水素分子を吸着・拡散させ、ステップでトラップすることで一次元的に配列し、基板を加熱して脱水素化を図り、原子スケールの幅を持った炭素の一次元構造を形成する。供給する分子の種類や量、基板の加熱温度などの諸条件を変えることでその構造を制御し、一次元π電子系の電子構造をコントロールし、更に、ホウ素や窒素で炭素を置換することによりホールや電子などキャリアをドープして、電子バンドのフィリングを調整することで、最終的には電子物性を制御することを目指している。 平成22年度は、一次元構造の形成とその構造制御の手法の確立を試みた。PtとNiの(111)面の微傾斜面であるPt(997)面やNi(755)面にプロピレンやベンゼンを吸着させ、比較的低い温度でアニールして脱水素化を図ったところ、幅がステップ間隔と一致する極めて均一なナノリボン状のグラフェンが形成された。Pt(997)面上では、プロピレンを用いた場合にはモアレパターンが観察されたことから非整合のジグザグ端を持ったグラフェンリボンが、ベンゼンを用いた場合にはモアレパターンは観られないことから整合性の良いアームチェア端を持ったグラフェンリボンが形成されたものと考えられる。非常に形状の揃ったグラフェンリボンが得られ、また、そのエッジの構造を制御することに初めて成功したという意味で、大変意義深い結果が得られたと考えている。 更に、これらのグラフェンリボンの電子構造を調べるために光電子分光測定を行ったが、基板のPtやNiのdバンドのcross sectionが大きすぎて、グラフェンの電子バンドを直接観察することは出来なかった。そこで現在、金属以外の基板で微傾斜面が得られないか、実験を進めているところである。
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Research Products
(2 results)