2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655063
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
南任 真史 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 専任研究員 (90300889)
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Keywords | 自己組織化 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 物性実験 / 磁性 |
Research Abstract |
グラフェンはSiの100倍という高い移動度を有するため、デバイスの高速化や省電力化を可能にする次世代デバイス材料として注目を集めているが、ギャップレスの電子構造が実用化の障害となっている。グラフェンをナノリボン化すればバンドギャップの導入が可能であり、デバイス応用の実現に大きく前進する。デバイス応用を考えた場合、非金属の基板上にグラフェンを形成する必要がある。そこで、Siの基板表面を処理して安定な微傾斜面を出し、その上にグラフェンナノリボンを形成することを試みた。Si(100)の1.5°off基板を超高真空中で通電加熱して表面のSiO_2層を除去し、原子スケールで平坦な清浄表面を形成したところ、ステップの形状は電流の方向に強く依存し、電流の方向がステップに対して垂直な場合にはステップがジグザグに、平行な場合には比較的真っ直ぐなステップが得られた。表面には2×1構造のdimer列がステップに直行する面と、平行な面とが交互に現れた。大部分はdimer列がステップに直行する面であったが、ステップ端付近には平行な面も残り、また、ステップは完全に直線にはならなかった。得られた微傾斜面にベンゼンを吸着させると、2×1構造のon-topサイトに分子1個が結合し1基板を加熱して脱水素化を図ると、dimer列と同じ方向に結合して伸びる一次元構造が形成された。一方、Si(111)の1.5°off基板を用いて同様の表面処理を行ったところ、ステップが直線的且つ平行に走る理想的な微傾斜面が得られ、表面にプロピレンを吸着させたところ、7×7構造のon-topサイトに分子1個が結合し、基板をアニールして脱水素化を図ったところ、比較的均一なリボン状の構造が形成された。これらの結果から、Si(100)よりSi(111)の微傾斜基板の方がデバイス応用を目的としたグラフェンナノリボンの形成に適していることが判った。
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