2011 Fiscal Year Annual Research Report
光増感剤ナノ粒子からの一重項酸素生成能の評価と消色用色素のスクリーニング
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22655064
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 由紀子 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 産学融合特任准教授 (00399502)
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Keywords | 一重項酸素 / 有機光増感剤 / 色素分解 / 光増感酸化反応 |
Research Abstract |
将来の紙のリユースを目指し、光照射によって化学的に発生させた一重項酸素により印字を消色するシステムの構築を目指し、一重項酸素を光照射によって効率よく発生する有機光増感剤ナノ粒子の開発および一重項酸素によって効率よく消色する有機顔料および染料の選定を行う。一重項酸素の新たな応用を創出するものであり、ナノサイズ化による光増感剤の一重項酸素発生能への影響を評価し、かつ一重項酸素によって消色する色素を消色速度によって選定し、最終的には消色可能な光増感剤と色素の組み合わせを提言する。 本年度は、昨年度に開発した実験システムにていくつか光増感剤と消色色素の評価を試みたが、データが安定化せず、その原因は消色色素を1穴スライドに蒸発により塗布していることにあることがわかった。詳細には、固相の透過吸収測定のばらつきの上に、試料作製のばらつきが加わり、さらに色素とガラスとの問に強い相互作用が生じて色素が安定化してしまうためと判明した。ゼラチンやポリマー等の他の固定化法を試みたが、どれも固定化剤による一重項酸素の失活が大きく、色素の評価に至らず固相系を断念した。以上より、実験システムの改善を図り、光増感剤はナノ粒子化して薄膜とすることは以前と同様であるが、消色色素を溶液で導入することとした。一重項酸素の吸光プローブ9,10-anthracenedipropionic acid(ADPA)の水溶液を、間にスペーサーを入れその距離を0.3-3.3mmに調整し、光照射を行い、ばらつきが少なくなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連携研究員が急遽辞職し、当初の学生も修了して新たな学生に入れ替わったため、研究体制が当初予定より脆弱になった。加えて昨年度開発した実験システムにおいて、1穴スライドへ蒸発によって塗布された色素は下地のガラスとの相互作用が大きくデータのばらつきが大きくなるという問題点が見つかり、改善に大幅に時間をかけたが改善に至らず、最終的には消色色素は塗布ではなく溶液で持ち込むこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より研究体制をM2とM1、B4の3人と増員し、基礎知識の向上のための勉強会と打合せを行い、グループ全体として研究能力の向上を図る。加えて、問題のあった実験システムについて、上記のように消色色素は溶液で導入することとし、実証のため一重項酸素の吸光吸光プローブである9,10-anthracenedipropionic acid(ADPA)を用いた場合、ばらつきが少なくなることがわかっている。ADPAだけでなく、他の一重項酸素のプローブ、4-oxo-2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl(TEMPONE)(ESRプローブ)やN,N-dimethyl-4-nitrosoaniline(吸光プローブ)でも試み、実験システムを多角的に実証し、確かなものとする。光増感剤および消色色素の候補は既にいくつか購入しており、あとは光増感剤と色素のスクリーニングとなるため、人数の利を生かして迅速に進めたい。
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Research Products
(1 results)