2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00187981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 英治 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80338251)
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Keywords | 磁性 / スピンエレクトロニクス / 超格子 / ナノ材料 / スピン流 |
Research Abstract |
本研究では、異常ネルンスト効果は温度勾配によって発生したスピン流の逆スピンホール効果であるという仮説に基づいて、室温で巨大な異常ネルンスト効果を示す材料の探索を行う。具体的には、高い磁気異方性を示すFePtに代表されるL1_0型規則合金と高いスピン分極率を有するハーフメタルホイスラー合金に着目し、物質依存性を系統的に研究する。最終的には、室温で巨大な異常ネルンスト効果を実現するための材料創製の指針を得ることを目標とする。今年度は、まず異常ネルンスト効果を定量的に評価する装置を作製した。垂直磁化を有する薄膜の膜面垂直方向に磁化を印加することができる電磁石を準備し、マイクロプローブを複数設置し、薄膜表面にタングステン探針を接触させる装置を作製した。同時に、薄膜の一端にヒータを備え付け、両端間に熱勾配を発生させることにより、熱流を印加する機構を作製した。この装置を用いてL1_0型FePt薄膜の異常ネルンスト効果を室温で測定したところ、起電力を確認することができた。その電圧の大きさは熱勾配の大きさに比例して増加することを確認し、異常ネルンスト効果に起因した起電力であることが分かった。また、異常ネルンスト効果のFePt膜厚依存性を調べたところ、膜厚10~40nmの範囲ではその大きさはほとんど変化しないことが分かった。これらの結果は、室温で巨大な異常ネルンスト効果を示す材料の探索に向けた知見となるものである。
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Research Products
(3 results)