2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹中 康司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60283454)
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Keywords | 無応答材料 / 抵抗標準 / 抵抗温度係数 / ゼロ膨張 / 熱膨張制御 / 負熱膨張 / 逆ペロフスカイト / 薄膜 |
Research Abstract |
逆ペロフスカイト型マンガン窒化物Mn_3AN(A:遷移金属など)を用いて、電気抵抗率やゼーベック係数等の電子輸送係数が温度、磁場といった外部変数に依存しない「無応答材料」を創製する。今年度は、予備的な実験で常磁性相において緩やかな電気抵抗率の極大を有することが示唆されたMn_3AgNを中心に、新しい抵抗標準材料の開発を目指して構成元素一部置換の手法による集中的な探索を行った。これにより、Mn_3Ag_<1-x>CU_xN系において、現在抵抗標準として用いられているマンガニンに匹敵する低抵抗温度係数を実現できた。例えばx=0.28では、二次の抵抗温度係数β=-0.57ppm/K2、23℃(295K)における一次の抵抗温度係数α_23=-7.61ppm/K、x=0.30ではβ=-0.78ppm/K^2、α_23=1.31ppm/Kとなった。マンガンニンの場合、組成と機能の相関が単純でなく、熱処理によって機能が左右され、機能再現性の点で課題がある。これに対して、マンガン逆ペロフスカイトでは、AgとCuの固溶比を調整することで、機能を精密にかつ再現よく制御できる可能性がある点で特筆される。上述の特性は、本物質の精密電子デバイス応用への高いポテンシャルを示すものである。しかしながら、電気抵抗の経時変化が予想外に大きく(~2ppm/day)、その低減という新たな課題が浮上した。これに関して、試料の焼成条件を変え、試料密度を高めるなどすることで経時変化が低減できることから、この経時変化は試料組織上の問題であり、焼結性をより高めれば改善が見込めると考えられる。
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Research Products
(2 results)