2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 二郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40263123)
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Keywords | フェムト秒 / X線回折 / 相転移 / レーザー / 結晶 |
Research Abstract |
従来の低繰り返し大強度のレーザーシステムで、X線発生効率の向上に寄与しているプリパルス法について検討を行った。プリパルス法においては、プリパルスの波形や強度などが重要なパラメータであるが、低いパルスエネルギーを用いる本システムでは、X線の発生効率の向上は大きくないことがわかった。 本提案によるフェムト秒X線を用いて、光励起構造相転移が起こるVO_2結晶を観察した。X線の進入長は光の進入長に比べてきわめて長いため、進入長をあわせるためには薄膜VO_2を用いることが必要である。また、フェムト秒X線の強度はきわめて弱いため、X線回折強度が高くなる単結晶を用いる必要がある。今回はサファイア単結晶のc面にエピタキシャル成長させた200nmのVO_2単結晶を試料として用いた。VO_2の低温安定相はモノクリニック結晶構造であり、相転移後の結晶構造はルチル型の結晶構造を持っている。VO_2を800nmの光で励起することで相転移を起こし、ポンプ・プローブ法を用いて回折X線強度、回折角、半値幅などの時間変化を測定した。その結果、フェムト秒のX線回折法で測定した相転移前後のX線回折線の変化は、従来のX線回折装置で測定した値と同じであることがわかった。さらに、ポンプ光による光励起後20ps以内にはルチル、モノクリニック結晶とは違う新しい結晶状態を持っていることが明らかにすることができた。
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