2010 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム・レージングを利用した革新的発光素子と新学術の創出
Project/Area Number |
22656019
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小原 實 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90101998)
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Keywords | ランダム・レージング / ランダム・フォトニック結晶 / アンダーソン局在 / マイクロ共振器 / 光散乱 |
Research Abstract |
構造体内部に光の局在を誘起する方法として、フォトニック結晶における欠陥モードを利用した方法に加えて、その対極の方法としてランダム系における多重光散乱を利用したアンダーソン局在による方法がある。近年、両者の中間状態であるフォトニック結晶にランダムネスを導入したランダムフォトニック結晶が、光閉じ込めの高効率化に寄与する構造体として注目されている。しかしその局在モードの特性は解明されていないので、ランダムネスを導入した系の持つ局在モードの特性について解析した。2D-FDTD(2次元有限差分時間領域)法により2次元ランダムフォトニック結晶のインパルス応答を研究した。その結果、空間偏差の導入に伴い、光の局在が欠陥モードへの結合からアンダーソン局在モードへの結合へと変化することが示された。得られたQ値は~12,000で微小モード領域(~2μm^2)に光は局在した。 従来は微小レーザ素子実現へ向けたフォトニックバンド端における低群速度光によるレーザ発振は、欠陥モード発振と比べ均一な放射パターンを得られる利点がある。しかしシステムサイズが有限であるため、群速度が完全にゼロとはならず、水平方向への損失が発生する。本手法ではフォトニック結晶構造に空間的なランダムネスを与えることでバンド端の位置をランダムに揺らせ、アンダーソン局在を誘起する。次年度はInP基板に三角格子状に空気ホールを形成、第一バンド端がライト・ライン以下で波長1.55μmに位置するようにホール径、格子定数を選ぶ。同基板はレーザ利得としてInAsP/InP量子井戸構造を含む。空気ホール位置に対し、ランダムに異なる方向に空間変位を与えることでランダムネスを導入する。次年度、ランダムネスの導入によって低群速度光がアンダーソン局在しランダム・レーザ発振する新規素子を開発する。
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Research Products
(10 results)