2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラセオジム添加フッ化物ガラスを用いた全固体可視域モード同期ファイバレーザ
Project/Area Number |
22656020
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神成 文彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40204804)
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Keywords | 可視域レーザ / プラセオジムイオン / 過飽和吸収体 / モード同期レーザ |
Research Abstract |
波長490-720nmのほぼ可視域全体にわたり数多くの発振波長を有し連続的波長化変性も実現されているプラセオジムイオン(Pr^<3+>)ドープフッ化物ガラス媒質を用い,可視域で超短パルスレーザを発生できる全固体モード同期レーザの開発を目的とした研究を行った。 受動モード同期の実現には可視域で利用可能な過飽和吸収体の探査が不可欠である。そこで,別途構築したGaN半導体レーザ励起QスイッチPr:YLFレーザパルスを用いて,過飽和吸収特性をいくつかの材料で測定した。その結果,Cr^<4+>:YAG結晶,半導体微粒子含有ガラスについて波長639nmでの過飽和吸収特性を確認した。とくに,Cr:YAG結晶は波長1μm帯で用いられ来た^3B_1(^3A_2)→^3E(^3T_2)遷移に替わり ^3B_1(^3A_2)→^3A_2(^3T_1)遷移が有効に働くことが明らかになり,オレンジ,緑波長域でも過飽和吸収特性を発現することをはじめて明らかにした。この結果を踏まえ,我々は,Pr:YLFレーザにおいてはじめてCr:YAGを過飽和吸収体として用いた受動Qスイッチ動作を波長639,607nmにおいて実現した。 同様のQスイッチ動作は,Pr^<3+>ドープフッ化ガラスファイバレーザでも実現した。長さ5cmのマルチモードファイバ(コア径8μm)を500mW GaN半導体レーザ光で励起しQスイッチモード同期を実現した。赤色波長においては半導体過飽和吸収体を用いたQスイッチ動作も実現したがモード同期には至っていない。 現状では,ファイバを透過した青色励起光による吸収特性の飽和が無視できないことから,共振器条件の調整を含めてモード同期条件の調査が必要である。 一方,本研究では,当初,高い励起強度条件でファイバにおける非線形偏光回転の利用を計画したが,ファイバの偏光保持特性が悪く,現状のファイバではこの方式の利用は無理であることがわかった。
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