2010 Fiscal Year Annual Research Report
可積分系理論に基づく新しいムービングメッシュ数値計算スキームとその応用
Project/Area Number |
22656026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 泰広 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10213745)
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Keywords | 可積分系 / 数値シミュレーション / 自動適応ムービングメッシュ / Camassa-Holm方程式 / ソリトン |
Research Abstract |
Camassa-Holm方程式の数値シミュレーションに対して、自動適応型のムービングメッシュ法を提案した。これは厳密なN-ソリトン解をもつという意味において、可積分なスキームになっている。この数値計算法は二つの主要な部分から成る。第一に、数値計算格子は非一様であり、格子点は解に応じて自動的に適切な位置に動かされる。それ故にこの方法は自動適応ムービングメッシュ法と呼ばれる。第二に、非一様な計算格子が新しい位置に動かされた後、三重対角の線形方程式系を解くことによって、次の時間ステップにおける解が決定される。この二段階の計算方法によって、格子点の数が少ない場合においてさえ、計算結果の精度が非常によいことが幾つかの精度検証によって示された。この方法は、Camassa-Holm方程式の可積分な空間離散化に基づいており、離散系のN-ソリトン解は格子間隔を0に近づける極限において、元のCamassa-Holm方程式のN-ソリトン解を再現することが保証されている。そのため、精度と計算コストの両方において優れた計算方法になっている。時間発展にはEuler前進差分と4次のRunge-Kutta法を用い、適当な初期値からピーコン列が生成される過程をシミュレートすることができた。しかし、4次のRunge-Kutta法を用いても、カスポンのように特異性の高い解を精度よく捉えることは困難であった。
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