2011 Fiscal Year Annual Research Report
可積分系理論に基づく新しいムービングメッシュ数値計算スキームとその応用
Project/Area Number |
22656026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 泰広 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10213745)
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Keywords | 可積分系 / 数値シミュレーション / 自動適応ムービングメッシュ / ホドグラフ変換 / ソリトン |
Research Abstract |
平面曲線の運動に付随するいくつかのソリトン方程式に対して、可積分性を保つ差分化を考察した。それらはWadati-Konno-Ichikawa弾性棒方程式、複素Dym方程式、短パルス方程式などを含む。これらの方程式はホドグラフ変換によって、変形KdV方程式やsine-Gordon方程式などと関係づけられる。このホドグラフ変換は曲線の運動におけるEuler-Lagrange変換に相当しており、その事実に基づいてホドグラフ変換の離散類似を構成し、これらのソリトン方程式の可積分な離散化を行なった。ここで用いられているホドグラフ変換は、水面波の運動を記述するCamassa-Holm方程式とAKNS型の浅水波方程式との間の関係を与える変数変換と同様のものであり、その離散化によって得られる離散可積分系は、Camassa-Holm方程式の離散化が与える自動適応ムービングメッシュ数値計算スキームと同様の構造をもつ。様々なソリトン方程式に対する離散ホドグラフ変換の構造と性質を研究することにより、自動適応ムービングメッシュの新しい応用について考察した。また、KdV階層やポテンシャル変形KdV階層などの1+1次元の可積分系に対して、無限個の保存則を構成するための一般論をあらためて精査することによって、従来のホドグラフ変換の場合だけでなく、変換に現れる被積分関数が場の変数の微分を含む場合でも、方程式を連立系にすることによって閉じた系を構成できることを見出した。このようなホドグラフ変換の拡張によって、Euler-Lagrange変換をともなう可積分系のクラスを広げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面曲線の運動に付随するソリトン方程式に対して、ホドグラフ変換の離散化を構成することに成功し、自動適応ムービングメッシュ数値計算スキームの新しい応用の可能性を広げたから。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、自動適応ムービングメッシュ数値計算スキームとその応用に関して、可積分系理論に基づいて研究を推進していく。また、ホドグラフ変換という数学的な変数変換が、物理現象を考える上ではEuler-Lagrange変換として理解されることに基づいて、非可積分系に対するムービングメッシュ法の可能性を探っていく。
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