2011 Fiscal Year Annual Research Report
材料変形のナノスケールスローダイナミックスモデリング
Project/Area Number |
22656030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾方 成信 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君塚 肇 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60467511)
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Keywords | スローダイナミクス / 材料変形 / 時間スケール粗視化 / 分子動力学法 / マルチレプリカ法 / 自由エネルギー / 並列計算 |
Research Abstract |
平成23年度は以下の点について研究を実施した。 1.新規の時間拡張粒子モデリング手法(Adaptive boost法)の構築 22年度に本研究課題で構築した時間拡張粒子モデリング手法の計算効率をさらに向上させることを目的として、自由エネルギー曲面を求めるためのアルゴリズムに大幅に改良を加えたAdaptive boost法を新たに構築した。この手法を用いることで、昨年度開発した手法にくらべて自由エネルギー曲面を数十倍高速に獲得することができることがわかった。加えて、前年度までの手法ではできなかった、系のダイナミックな発展をも自動的に獲得可能であることがわかった。実際に、これを鉄中の炭素拡散現象に適用して、炭素の拡散を加速させて、その拡散係数を求めたところ、実験値と極めて良い一致を示すことがわかり、手法の有効性が確認できた。 2.ナノ金属多結晶の変形特性の解明 ナノ結晶の一定応力下での変形解析を行い、ある臨界応力レベル以上において、変形の素過程が結晶粒界での拡散から転位の運動へと遷移することがわかった。特に、転位の運動は、粒界部からの転位生成に支配されていることがわかり、この粒界からの転位生成プロセスを1で開発したAdaptive boost法によって加速させて、その生成頻度や生成過程の応力依存性、温度依存性を解析した。 3.金属ガラスの局所構造と局所力学特性の関係の評価 22年度に開発した時間拡張粒子モデリング手法を用いて、金属ガラスモデルめ局所ひずみに対する自由エネルギー曲面を求めることにより、金属ガラスの局所構造の力学的安定性と局所構造との関連を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画については、研究実績で述べた項目2、3でほぼ達成しており、それに加えて、項目1に述べたように、加速手法のさらなる改良に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を開始する際に想定した研究課題についてはほぼ達成した。したがって、今後は加速手法が必要とされる新たな問題に着手する予定である。具体的には、材料工学のなかで大きな課題となっている、材料中の欠陥(転位や粒界)付近での不純物元素の拡散現象を解明していく。
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Research Products
(7 results)