2011 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ電磁波トモグラフィの開発とこれによる材料劣化評価
Project/Area Number |
22656032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阪上 隆英 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50192589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 司郎 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20107139)
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (10144429)
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Keywords | 非破壊評価 / テラヘルツ電磁波 / 逆問題 / テラヘルツ分光計測 / 被覆・被膜材料 / 複合材料 / 劣化損傷 |
Research Abstract |
本研究では,テラヘルツ電磁波を用いた非破壊評価手法開発のための学術的基礎検討を行っている.各種機械材料のテラヘルツ電磁波の透過,吸収,反射に関する分光特性に関する系統的なデータを取得するとともに,これら計測データの逆問題解析によりテラヘルツ電磁波計測に基づく非破壊評価法を構築することを目的としている.本年度は,フェムト秒ファイバーレーザーおよび光伝導アンテナを用いたテラヘルツ時間領域分光システムによる,テラヘルツ電磁波の発生および検出装置の高精度化を行い,より精細なテラヘルツ電磁波イメージング計測を可能とした.測定対象としては,機械・構造用複合材料,被覆および被膜材料とし,テラヘルツ電磁波の透過,吸収および反射に関する分光特性に関するデータを取得した.具体的には,防食塗装膜に対するテラヘルツ電磁波の分光透過性,金属材料表面の腐食によるテラヘルツ電磁波の反射特性,滞留水分によるテラヘルツ電磁波の吸収特性,欠陥部におけるテラヘルツ電磁波の反射特性の検討を行った.検討の結果,テラヘルツ時間領域分光システムの時間波形をもとに透過性を有するGFRP等の材料中のはく離欠陥の検出および位置同定が可能であること,周波数領域のイメージングにより金属材料の表面腐食の画像化が可能であること,防食塗装膜に対するテラヘルツ電磁波透過の最適周波数帯域を明らかにした.一方で,システムが低出力であること,被膜内の多重反射の影響など,被覆・被膜下の材料の劣化・損傷検出に対する課題も明らかになった.さらに,マイクロボロメータセンサによる波長領域を遠赤外線とした場合の簡便な分光測定システムを構築し分光計測を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目までの目標として掲げた,テラヘルツ電磁波の発生および検出装置の構築および高精度化を完了し,種々の機械材料を対象にテラヘルツ電磁波の透過,吸収および反射に関する分光特性に関するデータを取得していること.テラヘルツイメージングによる欠陥検出を可能にしていること.
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Strategy for Future Research Activity |
テラヘルツ電磁波による非破壊評価法開発のための基礎研究として,継続して各種機械材料のテラヘルツ電磁波の透過,吸収,反射に関する分光特性に関する系統的なデータを取得してゆく.特に塗膜や被覆材料の劣化・損傷検出技術を確立するため,膜内の多重反射の問題の解決に取り組み,防食塗装膜や断熱被覆下の材料劣化評価,セラミックス被覆材料の損傷評価につなげてゆく.また,最終年度であるため,これまでの研究成果を論文にまとめ投稿する.
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