Research Abstract |
空気を加熱加湿し冷却除湿する湿度操作の過程では,過飽和湿り空気中での核凝縮と冷却壁面へ向かう吸込み流れが生じ,空気中へ存在する浮遊粒子状物質(SPM)は,熱泳動,吸い込み流れ,拡散沈着,重力沈降など多様な機構で除去されることが期待できる.本研究では,この湿度操作を利用し,空気中のナノ~マイクロメートルサイズにわたる全浮遊粒子状物質,およびガス状化学物質の除去技術を提案し,その性能,実現性を明らかとすることを目的としている.加えて,熱型空気清浄法の利点として廃熱やヒートポンプの利用による高い省エネルギー性の可能性を調べ,ナノ粒子や化学物質による空気汚染に対応する新たな空気清浄システムの開発を目指している. 本年度は,ナノ~マイクロメートルサイズの浮遊粒子状物質の湿度操作による除去効果を実験的に明らかとし,その機構に迫り,加えてアンモニアを用いた化学物質除去特性を調べることを目的とする。 今年度までの実験結果より,空気流量3リットル毎分の低流量条件では,空気を約70℃の飽和湿り空気から20℃の湿り空気の間で湿度操作を行うことで,約80%のナノ~マイクロサイズの浮遊粒子状物質を除去できることが示された。除去機構の見積りを行うと,吸込み流れ,熱泳動によりナノ~1ミクロンまでのSPMは除去され,より大きなミクロンサイズSPMは重力沈降が顕著な効果としてあげられることが分かった。化学物質としてアンモニアを空気に混入した場合,凝縮水量に応じた吸収特性が実験的に示され,水溶性ガスに関しては,内部の水量が除去に直接影響することが分かった。また,これらの結果を受け,処理空気量を30リットル毎分程度に増やし,加熱加湿に加えミストとして水分を供給できる実験装置を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
湿度操作により空気中に浮遊しているナノ~マイクロサイズの微粒子を80%程度除去できることが実験的に確認され,除去機構に関しても理論的見積りにより主要な機構が判明した。アンモニアによる化学物質除去実験でも,除去の有効性が示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な空気清浄機構が確認され,今後,流量を30リットル毎分程度に増やした実験を実施し,提案する手法の実用性を示す。また,今後エネルギー評価を実施し,提案する湿度操作空気清浄法の実現性を明らかとする。
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