2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパワー出力可能な超小型リニア圧電アクチュエータの研究
Project/Area Number |
22656057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保坂 寛 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50292892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 剛 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (60344735)
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Keywords | マイクロ・ナノメカトロニクス / 圧電モータ |
Research Abstract |
従来のSIDM駆動ではソフト系積層圧電素子が利用されていたため、Q値が低くハイハワーな駆動が難しい上、複雑な構造を有していた。そこで共振現象を利用することにより、ハイパワー化と共に超小型化が可能な共振駆動型SIDMを提案した。 まず、単純モデルによる解析的手法と、有限要素法シミュレーションにより、共振周波数比の制御が可能であることを示した。この結果を元に、長さ10mm、幅2mmの段付振動子を試作し、レーザードップラー速度計およびインピーダンスアナライザの共振周波数解析により設計の妥当性を検証した。次に、これらの共振モードを重ね合わせることで擬似的ノコギリ振動波形が形成されることを確認し、予圧負荷を与えた状態で、モータとしての駆動を計測した。スライダとして、回転型ベアリングを代用し、297.9kHzとその2倍の595.8kHzの正弦波電圧をそれぞれ42Vp-pと24Vp-pとして印加し、予圧を調節したところ、180rpmでベアリングを回転させることに成功した。また位相反転させることにより、逆回転することもできた。 上記のように、本年度の研究ではプレート形状ハード系単層圧電素子と段付構造の金属板のみで構成される非常なシンプルな振動子を用いて、小型な共振型SIDMアクチュエータを試作し、その駆動に成功した。本研究でパラメータとしたのは先端部の幅のみであり、用いた周波数も1次モードと3次モードが完全に共振ピークとなる値ではない。よって振動子の構造や印加電圧を最適化することでさらなる安定駆動や高効率高速化が期待できる。また、試作機においては回転式スライダとしたが、実用化にむけてリニアスライダを設計する予定である。
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