2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザル精密把握の神経制御機構:筋骨格モデルによるアプローチ
Project/Area Number |
22656063
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70324605)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 和彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, モデル動物開発部, 部長 (00226630)
|
Keywords | 把握 / 筋骨格モデル / ニホンザル / 逆動力学 |
Research Abstract |
ニホンザル手部の精密筋骨格モデルの構築を行った。まず、手の運動機能を精密に再現するために、ニホンザル新鮮屍体の手部・前腕部分を、エックス線CT装置を用いてスキャンし、その積層断層像から各骨の3次元表面形状を抽出した。そして、取得した骨の関節形状を球面、円柱、もしくは二次曲面によってモデル化し、各関節の回転軸の向きと回転中心を決定した。この情報に基づいて、骨格系を計20節から成る剛体リンクモデルとして構築した。第一中手手根関節は、屈伸軸と橈尺軸が互いに交わらないため、仮想リンクを導入して骨の形状が規定する運動学的拘束を再現した。一方、CT積層断層像から手部表面形状も抽出し、それを分割することで節の質量や重心位置を算出した。筋系は、ニホンザルの手部および前腕部の解剖データに基づいてモデル化した。筋走行は起始点から停止点までを経由点を介して結ぶ線分として表現し,各筋の発揮しうる最大筋力は、筋の生理学的断面積に比例するものとした。各筋には対応する脊髄運動ニューロンが一つ存在するものと仮定した。この運動ニューロンの発火頻度は、0から1の連続量で表現されるものとし、1のとき筋は最大筋力を発揮する。今後この筋骨格モデルにニホンザルが栂指と示指でマニピュランダムのレバーを摘むときの運動データを与え、逆動力学的計算により各筋の運動ニューロンの活動状態の推定を試みる。運動の計測には、モーションキャプチャシステムを用いるが、解剖学的筋骨格をマッチングさせることで、単一のカメラ映像から手部の3次元運動を再構成する試みについても研究を進めた。
|
Research Products
(4 results)