2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン照射による高分子光導波路の屈折率上昇機構解明と光制御デバイス開発
Project/Area Number |
22656077
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Keywords | イオン照射 / 屈折率上昇 / 高分子導波路 / 光制御材料 / 高密度化 / 絶縁材料 / 非晶質 |
Research Abstract |
我々は、非晶質シリカガラスに高エネルギー水素イオンを打ち込むと、高密度化が生じ、密度上昇部の屈折率が高くなるので、これを利用すれば機能性光透過材料が作り出せることに気付き、基本特許を出願・取得した。つぎに、この実用化を目指し、産学連携プロジェクトなどを実施し、これまでに、上記長周期グレーティング、偏波保持・脱偏波器、方向性合波.分波器等の導波路型光制御デバイスの開発に成功した。 本研究は、高分子光導波路においても同様に、イオン照射により屈折率上昇を誘起させられるかどうかを検証することを目的としている。本年度の実験として、1×1cm2のSi基板上にスピンコート法により、膜厚8mのフッ素化ポリイミドを堆積させ、試料として用い、集束プロトンビーム描画装置を用いて、ビーム断面積1×1mm2程度のH+イオンを、加速エネルギー1.OMeV、フルエンス1×1014~7×1016cm–2で照射した。ハロゲンランプを励起源とした分光エリプソメトリによって、実測された屈折率上昇は、フルエンス1×1015cm–2においてはシリカガラスに同程度のイオンを注入した場合に生じる屈折率上昇率O.35%とほぼ等しく、7×1016cm–2では3.3%と極めて大きな値となり、高分子光導波路の高機能化に十分寄与できる可能性がある。ことが分かった。さらに、イオン照射によるフッ素化ポリイミド膜内の結合や分子振動等の変化を調べるために、ラマン分光測定を行った。その結果、イミド結合のC-N伸縮、芳香環のC-C伸縮、カルボニル基のC;0結合に帰属されるフッ素化ポリイミドの構造を反映したピークが得られた。フルエンスが1×1016cm–2を超えると、これらフッ素化ポリイミドの構造を示すピークは消え、黒鉛状炭素に見られるブロードなピークが現れる。
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