2011 Fiscal Year Annual Research Report
PとBの同時ドーピングによるSiシングルドーパントデバイスの室温動作化
Project/Area Number |
22656082
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (90372458)
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Keywords | 電子デバイス・機器 / スピンデバイス / ドーパント複合体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Si系シングルドーパントデバイスにおいて、PとBを同時にドーピングすることによって、P-Bのペアリングの可能性を実験・理論の両面で追究し、電子に対するポテンシャルを深めて、室温に迫る高温動作を実現することを目指すものである。H23年度の主な成果は以下のとおりである。 1.ドナーレベルのディープ化 Si SOI-MOSFETにおいてチャネル部をナノメートル寸法にすると、ドーピングされたPドナーは、単独で量子サイズ効果と誘電閉じ込め効果のためにバルクSiの値の5倍以上のイオン化エネルギーをもつことを実験的に明らかにした。これは、室温でも熱雑音に負けないエネルギー井戸を介したトンネリングが可能であることを示している。P-B共存系で、より深いポテンシャル井戸が形成される実験的証拠はまだ得られていないが、pnナノダイオードで引き続き実験をしている。 2.第一原理計算によるドナーレベルの解析 第一原理計算によって、ナノSiチャネル中のPドナー単独の電子状態を調べた結果、Siの伝導帯下端から測ったドナーレベルはバルクSi中の値の10倍近くもあり、また、Bアクセプタとの共存系では互いに逆極性のポテンシャルが電子状態に影響しあうことが明らかとなった。これにより、BとPの配置によっては、電子に対する量子井戸をさらに深くすることが可能であることを示した。 3.ナノワイヤpnダイオードの接合部のKFM観察 pn接合部をKFMで観察したところ、概ね、pn接合独特のポテンシャル形状が得られた。さらに、これに光を照射することによって、期待通りの光起電力を観測することができた。原子1個単位でのポテンシャルの観測は、pn接合領域ではまだ成功していないが、P,B単独ではすでにFET構造のチャネル部で観測できた。
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