2011 Fiscal Year Annual Research Report
T-complexityを用いた暗号用乱数検定法の開発
Project/Area Number |
22656085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博資 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30136212)
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Keywords | T-code / T-complexity / 複雑度 / 乱数検定 / 暗号 / 情報源符号化 / データ圧縮 |
Research Abstract |
暗号用乱数検定ツールとして,世界中で広く使用されているNIST(米国商務省標準技術局)の乱数検定ツールの中で,Lempel-Ziv検定法はユニバーサルデータ圧縮理論に基づいた唯一の検定法であったが,大きな欠点が判明し,2008年にNISTの乱数検定ツールから公式に削除され,現在に至っている.本研究では,T-codeを用いて定義されるデータ系列の複雑度指標であるT-complexityに基づいた新しい乱数検定法を確立することを目的としている. 事前研究および平成22年度の研究において,T-complexityを用いた乱数検定法を提案し,それがLempel-Ziv検定のような欠点が生じず,Lempel-Ziv検定の代わりとなり得ることを,理論およびシミュレーションにより明らかにした.さらに,NISTの乱数検定ツールでは検出できないような特性の悪い擬似乱数を検出できることを示した.しかし,T-codeを用いて求めるT-complexityは,符号木のサイズがデータ系列長と共に急速に増加するため,計算量およびメモリ容量の点で大きな欠点を持つ.平成23年度の研究では,その欠点を改良するために,さまざまな改良法を検討して来た.T-codeでは符号木に符号木全体を接続して符号木を成長させていたが,符号木上で出現した根から葉までのパス上の節点とその節点の子のみを新たに符号木に付け加える改良T-codeを考案し,その改良T-codeに基づく改良型T-complexityを乱数検定に用いることを検討して来た.その結果,改良型T-complexityは,T-complexityに比べて,計算量およびメモリ容量が飛躍的に少なくてすむが,通常のT-complexityとほぼ同等の乱数検定能力を有していることが分かった.
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