2011 Fiscal Year Annual Research Report
対数の一般化に基づく高速な尤度最適化アルゴリズムとその応用
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22656088
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松山 泰男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60125804)
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Keywords | 隠れマルコフモデル / 高速推定アルゴリズム / アルファHMMアルゴリズム / アルファEMアルゴリズム |
Research Abstract |
この研究は,情報距離として最上位にある凸ダイバージェンスから出発して,一般化された対数尤度を最適化する確率的情報処理アルゴリズムを高速化することを目的としている.平成21年度においては,隠れマルコフモデル(mm)の推定アルゴリズムと独立成分分析(ICA)においてそれらの高速化を図るとともに,適用される情報源の広範化を目指した.それにより,次のような成果を得た. [隠れマルコフモデル推定アルゴリズムについて] 前年度(平成20年度)に得ておいた離散記号・単一配列の情報源をマルコフモデル化するアルゴリズムを,次の場合に拡張することができた. (1)離散記号・複数配列の情報源,(2)連続記号・単一配列の情報源,(3)連続記号・複数配列の情報源,(4)半連続記号・単一配列の情報源,(5)半連続記号・複数配列の情報源,(6)離散・連続混在の単一配列情報源,(7)離散・連続混在の複数配列情報源. 以上のアルゴリズムは,いずれも過去情報を有効に使う形態となっている.この成果により,Baum-Welchアルゴリズムとよばれている隠れマルコフモデル推定アルゴリズムは,完全に本研究による成果であるアルファHMM推定アルゴリズムの特例となった. [高速ICAとグラフ構造をもつ教師信号との融合] 前年度(平成20年度)に得ておいたRapidICAにより,デファクトスタンダードとなっているFastICAをしのぐ高速化を達成しているので,これを次のような問題に適用し,実用化に向けての成果を得た. (1)グラフ構造による相関もつ教師信号を受容できるGC-ICAを実現した.(2)脳波信号を独立成分に分解してそのパターンを分離し,二足歩行ヒューマノイドへの指令に用いることができた. 以上の様に,得られた二種類の.般化アルゴリズムは,生体情報の認識と応用に向くものであることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の本体である「一般化された対数尤度による高速確率アルゴリズムの作成」については,この年度における研究により,すべての変種を押えることができた.これは,当初の想定を大きく上回る成果であると判断できる.一方,それに費やしたエフォートのため,実際の生体信号に対する応用に踏み込むことが今一つとなった.従って,この年は理論に集中したことによるプラス・マイナスを考えると評価は(2)となる.
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Strategy for Future Research Activity |
この研究は,理論面では当初の想定を上回る形で進行している.これについてはそのためにエフォートの持ち分を使ったことになっており,同時に実応用を完成させることは困難であった,今年度の終盤からはヒトに固有な生体信号の分離と認識に応用することに着手しており,次年度にはこれを達成できる見込みが立っている.
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