2011 Fiscal Year Annual Research Report
地質の異なる材料の分級・磨耗と水路の合流・分派を考慮した水系土砂動態モデルの開発
Project/Area Number |
22656108
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻本 哲郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20115885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 祐嗣 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60301173)
田代 喬 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30391618)
|
Keywords | 表層地質 / 材料の摩耗・破砕 / 土砂動態モデル / 土砂の生産・流出 / 山地礫床河川 / 河床生息場所 / 地理情報システム |
Research Abstract |
本研究は、流域における土砂動態の総合的把握を目指したものであり、従来、取り扱ってきた河道内の流水による土砂の分級作用に加え、流下に伴う材料の変態・磨耗作用、流域内の水路の合流・分派による影響を明らかにし、生態系の基盤として重要な河床の生息場の形成・維持・更新機構の解明に資する知見を得るものである。 土砂の生産・流出特性と関連付けるため、流域における表層の構成地質や地形特性から対象流域・河道を絞込み、既往資料を収集するとともに、現地観測と採取試料の分析から河床の生息場特性を調査した。多元情報の整理には地理情報システム(GIS)を援用し、マクロスケールでの土砂流出量を推定するモデルを構築する一方、メゾスケールでは材料の摩耗・破砕および分級過程を記述可能な土砂動態モデルを開発した。また、河床に生息する底生動物群集については多元数値情報を変数とする多変量解析を適用し、生態系の成立要因を考察した。 当該年度の成果としては、構成地質の異なる流域から生産・流出した砂礫を対象として、流砂の確率過程と摩耗・破砕機構を記述した土砂動態モデルの開発が挙げられる。同モデルを適用した数値実験により、山地礫床河川の河床材料構成は、集水域の構成地質と河床縦断形状により規定されている可能性が示唆された。また、河床に生息する底生動物群集について、多元地理情報と現地観測データを用いて多変量解析を実施したところ、細粒分を生産・流出しやすい集水域をもち、かつ、これを捕捉しやすい河川形状における河床の生息場所において特有の群集構造を示す傾向が明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)