2011 Fiscal Year Annual Research Report
サイバースペースを考慮したトータルスペース・マネジメント手法の開拓
Project/Area Number |
22656111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
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Keywords | サイバースペース / 行動連鎖 / 実スペース / 代替 / 補完 / 空間マネジメント |
Research Abstract |
本研究では成長著しいIT技術に着目し、実スペースとサイバースペースに展開する個人の動きの代替・補完関係を掌握することを通じ、その両方(トータルスペース)を適切にマネジメントする手法の新規開拓を目的とする。具体的には、投入産出分析よりヒントを得た全く新たな行動連鎖分析の理論的枠組みを提案するとともに、サイバー行動実験などに基づく多方面からの分析によってその実証を行う。現在の「都心」vs.「郊外」の次に来る時代に求められる、空間全体の適切なマネジメント方策の道すじを見出すことを目的としている。本年度はこの目的を達成するため、下記の2点についての成果を得た。 1)サイバー化に伴うトレードオフ関係の分析 交通行動がサイバー空間に移転することにより、都市の賑わいが減少するといったマイナス側面が強調される反面、一方では自動車が排出していたCO2負荷量が減少するといったプラス面が主張される場合もある。これらトレードオフの関係は全く明確になっておらず、適切なトータルスペースマネジメントを進める上でその実態を把握しておく必要がある。Web調査を通じて。個人の買い物行動についてそのトレードオフの実態を明らかにしたところ、サイバー空間への買い物行動の移転に伴い、CO2排出量が削減される割合より、都市内での賑わいの源泉といえる都市内滞留時間の減少率の方がはるかに大きい事が確認された。 2)サイバー化に伴う実空間への影響分析 サイバー空間への買い物行動の移転に伴い、どのような実空間上の店舗が最も影響を受けるかを個別の店舗レベルで調査した結果、中心市街地系の商店街などよりも、現在売上量が多くなっている郊外大規模店舗からの代替が量的に大きいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を進めるにしたがって、予想していなかった新たな結果も得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策については、当初の予定どおりで問題ない。研究を遂行する上での問題点も特に存在しない。 新しく得られた知見に添って、SNSなどの手段に伴って発生する自発的行動についても新たに焦点をあてていくことも考えられる。
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Research Products
(3 results)