2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜分離活性汚泥法の膜の目詰まりを抑制する酵素固定化型ろ過膜の開発
Project/Area Number |
22656116
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
細見 正明 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90132860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 昭彦 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 講師 (30434327)
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Keywords | ろ過膜 / クオラムセンシング / バイオフィルム / 固定化酵素 / 放射線グラフト重合法 / 細菌 / メンブレンバイオリアクター / 排水処理 |
Research Abstract |
メンブレンバイオリアクターは、固液分離をろ過にて行うため、高い排水処理効率を有する一方で、膜の目詰まりが顕著な問題となっている。本研究では、この目詰まりの主要な原因であるバイオファウリングの引き金となる微生物間情報伝達物質を遮断し、目詰まりを抑制可能な酵素固定化型ろ過膜の開発を行った。ポリエチレン製の精密ろ過膜にエポキシ基を有するグリシジルメタクリレート(GMA)をグラフトした(GMA膜)。その後、N,N-ジメチル-γ-アミノブチル酸塩(DMGABA)を導入し(DMGABA膜)、さらに、微生物間情報伝達物質の一つであるアシルホモセリンラクトン(AHL)を分解可能なAcylaseIの固定化を行った(DMGAGA一酵素固定化膜)。膜の透水性評価の結果、グラフト重合による膜の孔径の縮小にもかかわらず、DMGABA膜はポリエチレン製膜と同様の透水性を示し、DMGABA-酵素固定化膜でも20%しか減少が見られなかった。次に、DMGABA-酵素固定化膜のAHLの分解性能を評価するため、AHLの一種であるC6-HSL溶液(5μM)を透水したところ、DMGABA-酵素固定化膜では50時間で完全にC6-HSLの分解が見られ、膜のAHL分解性能を確認した。DMGABA膜およびDMGABA-酵素固定化膜上へのバイオフィルム抑制効果を評価するため、AHLを情報伝達物質として用いるAgrobacterium tumefaciensによるバイオフィルム形成試験を行った。バイオフィルム量は対照系のGMA膜と比較してDMGABA膜は28%、DMGABA-酵素固定膜では8%であり、バイオフィルム形成を大幅に削減可能であった。DMGABA膜の有する親水性に加え、酵素固定化による微生物間情報伝達物質の分解といった相乗効果により、膜目詰まりの原因となるバイオフィルム形成を抑制できることが示唆された。
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Research Products
(5 results)