2010 Fiscal Year Annual Research Report
貝殻に記録された情報による水域生起事象の推定方法および環境再生への利用方法の開発
Project/Area Number |
22656117
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
楠田 哲也 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50037967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門上 希和夫 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60433398)
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Keywords | 環境質定量化・予測 / 環境変動 / 水圏現象 / 土木環境システム / 貝殻 |
Research Abstract |
海域に残存している貝殻を利用してかつての海域の環境条件、特に、底生生物を死に追いやる貧酸素水塊の発生状況を推定できるようにすることを試みた。本年度の研究成果は以下のとおりである。 1. 貝殻をセンサーとして利用できるようにする検討過程を考案した。この案に基づき、検討を進行させることにした。この過程は、キャリブレーションカーブの作成と現地で対象となる貝殻の収集、分析、解析からなる。 2. この検討過程にもとづき、死亡年、生存場所が既知の複数種の貝殻を収集し、C^<14>のキャリブレーションカーブを作成することを試みた。その結果、普遍的に存在するアサリ、サルボウでは、このようなサンプルが意外に少なく、貴重な貝類よりはるかに少ないことが判明した。そのために、自ら収集を開始した。また、収集しえた貝殻のC^<14>はかなり減少してきており、1970年代のような高い値を示さなかった。死亡年代推定の根幹であるC^<14>計測をもう少し幅広く検討する必要があることが判明した。 3. 有明海海底に存在する貝殻を収集した。その結果、貧酸素水塊が出現する地域では貝殻がほとんど残存しないことが判明した。破砕片も少ないので、キャリブレーションカーブが作成できたとしても、環境変化を追跡できない可能性が生まれてきた。この点を明確にするために次年度調査を継続することにした。 4. 貝殻が海底に意外と少ないことから、貝殻の分解過程を追跡することを新たに開始した。籠に貝殻を入れ、海中に吊るし、数カ月単位で貝殻の減少速度を追跡するとともに、貝殻表面の劣化状況を把握することにした。 5. 貝殻の日輪観測の準備 貝殻の切断加工、表面研磨、日輪読み取りのための凹凸の転写に習熟し、顕微鏡撮影のソフト等を揃え、準備を整えた。
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