2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656124
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 暁 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20301244)
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Keywords | 皮膚 / 水分 / 乾燥 / 室内湿度 / 人体 / 湿気物性 |
Research Abstract |
ヒトが乾燥を感じる実態の調査と、低湿度条件下における人体表面(皮膚、粘膜)の水分移動を記述するモデルの基礎検討を行った。 (1)被験者測定 冬季に青年男女を被験者として、皮膚含水率、皮膚温、環境温湿度、乾燥感申告、乾燥を感じる部位の申告を採取した。乾燥を感じる部位として喉、眼、唇を答える頻度が高いこと、乾燥感の申告の有無は、湿度のみならず、気温・風速にも依存する可能性が高いことを示した。 (2)室内環境の実測調査 冬季の低湿度条件下で、オフィス・学校・商業施設・住宅の室内温湿度の実態を把握した。相対湿度40%を下回る事例、気温が25℃を超える事例が存在することを示した。 (3)ヒトの皮膚の湿気物性値推定 ラマン分光装置により皮膚角層での含水率分布を測定した。上腕での測定結果より、皮膚表面から20μm以深での含水率はほぼ一定であることが示された。また、皮膚周辺空気の湿度変化(気温22℃条件で相対湿度5%を基準として、30分間の90%および10%環境への曝露)は、表面から15μm程度までの含水率に影響を及ぼすことが示された。さらに、皮膚表層部の平均含水率の連続測定(簡易計測器による)の結果より、湿度のステップ変化(相対湿度約50%から約10%への変化、及びその逆の変化)に対する応答時間は、5分~10分程度であることが示された。一方、平衡含水率曲線の測定、熱水分同時移動方程式を用いた解析モデルの提案、解析モデルによる湿気伝導率の推定を行い、皮膚角層を均質な多孔質材料と近似した比較的簡易な解析モデルにより、含水率分布変動を把握する可能性を示唆した。 (4)皮膚・粘膜の水分率予測モデル構築の基礎検討 皮膚・眼球・気道での水分蒸発を予測する簡易モデルを作成し、多様な温湿度条件下での計算結果を得た。また、眼球表面温度と顔面温度の関係、眼球温度・瞬き回数・目の乾燥感の関係を検討した。
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