2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656124
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 暁 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20301244)
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Keywords | 皮膚 / 眼球 / 気道 / 乾燥感 / 室内湿度 / 体温調節 / 熱水分移動 / 人体熱モデル |
Research Abstract |
室内の「乾燥」が人体に及ぼす条件を明らかにし、建築環境設計や衛生管理に資するため、特に、皮膚や粘膜の水分率や乾燥感の実態と、その実態を形成する要因・メカニズムを、ヒトを対象とした調査・測定、及び数値解析により明らかにすることが本研究の目的である。昨年度の基礎検討に引き続き、本年度は、低湿度条件下における人体表面(皮膚、粘膜)の水分移動を記述するモデルの検討を行った。 (1)皮膚の湿気物性値推定 ラマン分光装置により測定した皮膚角層での含水率分布のデータに基づき、熱水分同時移動方程式を用いた解析モデルにおける湿気伝導率の推定を行った。皮膚含水率に応じて湿気伝導率を変化させるモデルにより、実験結果をよく説明できることを示した。また、熱・湿気に関する皮膚の各物性値について、解に対する感度を明らかにした。 (2)眼球での水分蒸発モデルの推定 眼球周りの閉鎖空間での湿度上昇速度を測定するという被験者実験に基づき、涙の蒸発モデルを推定した。涙の油層による湿気抵抗と水層の蒸気圧降下を考慮したモデルにより、眼球からの蒸発量測定実験の結果を説明可能であることを示した。 (3)気道での水分蒸発モデルの推定 呼吸時における鼻開口部の気温の測定を、被験者実験により行った。その測定値が、人体熱モデルを援用した気道内の熱水分移動モデルにより、概ね再現可能であることを示した。モデルの各要素の中で、呼出空気の再吸入を考慮することの影響が大きいことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚・粘膜での乾燥を記述するモデルの提案、及びその妥当性検討が、予定通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚・粘膜での乾燥を記述するモデルの妥当性検討をさらに進め、モデルの第一ステップを完成させること、また、水分蒸発量や含水率などの物理量と、乾燥感という心理量の対応関係を見出すことが目標である。そのためには、温湿度・風速をパラメーターとした被験者実験を行う必要がある。
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