2011 Fiscal Year Annual Research Report
伝統文化継承装置としての花街建築および景観の特性と計画論的課題
Project/Area Number |
22656131
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡崎 篤行 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10281247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20137128)
澤村 明 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40334643)
井上 えり子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (70226736)
井上 年和 (財)建築研究協会, 日本建築研究室, 主席研究員 (00505688)
窪田 亜矢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30323520)
今村 洋一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00568404)
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Keywords | 花街 / 町家 / 路地 / 歴史的建造物 / 京都 / 上七軒 / 神楽坂 / 新潟 |
Research Abstract |
(1)花街の形成過程:京都花街について、史料の収集・分析や現存している茶屋建築遺構の実測調査等を行い、花街の形成過程、景観の史的変遷を考察した。新潟古町では、昭和初期と現在の建物用途を比較し、三業のなかでも茶屋と置屋が激減するなかで、飲食店やスナック・バーなどに転用されてきたことを明らかにした。 (2)花街建築の特性:花街構成要素である町家建築について、文化財調査報告書等から、1世紀で1尺ほど軒高が高くなる傾向にあることを統計的に実証した。 (3)花街建築の残存状況及び景観特性:神楽坂では築50年以上が経過している歴史的建造物の中から花街建築を抽出し、その外観特性を把握した。さらに、これを「戦前の神楽坂花街の建築の外観」および「現在の一般建築の外観」と比較することで、戦前の花街建築の意匠が、現在の花街建築や一般建築へと受け継がれている実態を明らかにした。 (4)花街の景観保全・住環境保全に係る計画課題:京都では、戦後街区の変化(路地の減少)が特に大きい上七軒について、その理由を明らかにした。そのうえで、今後の上七軒のまちづくりについて、居住者・店舗等経営者・お茶屋経営者の意識を、3者へのアンケートを元に分析した。また、京都、金沢、新潟における花街景観保全の取り組み経緯を整理し、特に新潟での計画課題を明らかにした。 (5)市民活動による花街の維持活性化:全国的に衰退傾向にある花柳界の中で、新しい試みに取り組んでいる東京神楽坂地区と新潟古町地区について、その実態を調査した。神楽坂ではまちづくりNPOが花柳界との協働を推進中であり、古町では地元経済界出資による設立会社で芸妓を雇用している。
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