2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田山 智正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20184004)
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Keywords | トンネル接合 / 電子触媒 / ホットエレクトロン |
Research Abstract |
本研究は、ホットエレクトロンを表面素過程の駆動力として用い、その制御を行うための金属・絶縁体・金属トンネル流説号の作製と、上記制御のための最適条件を明確化することを目指した。トンネル効果を利用した電子デバイスの一種であるMIMトンネル接合に対して電圧を印加すると、上部電極表面にホットエレクトロン(HE)と呼ばれるフェルミ準位よりも高いエネルギー状態にある電子が到達する。本年度はAgおよびAu電極表面に吸着したパラニトロ安息香酸(PNBA)のバイアス電圧印加による変化を表面増強ラマン散乱(SERS)法により比較検討した。 真空蒸着装置を用いAg/AlOx/AlおよびAu/AlOx/Alトンネル接合を作製した。各電極の膜厚は水晶振動子法により評価した。PNBAはスピンコート法を用いて上部電極表面に吸着させた。 トンネル接合に電圧を印加しHEを上部電極表面に作用させると、吸着PNBA分子自体に起因するラマンバンド強度が減少し分解反応が起きていることがわかる。このときPNBA分子間の還元カップリング(RC)反応によりアゾ化生成物が生成することに対応するラマンバンドが現れるが、その印加電圧依存性は上部電極がAgおよびAuの場合で異なる。この結果はAgおよびAu電極いずれもトンネル電流はファウラーノルドハイムトンネルにより2.3Vから急激に増加するのに対して、それぞれの表面プラズモン励起周波数が異なることが原因と考えられる。以上から、HEがSPPを励起しその結果PNBAのRC反応が促進されることを推定した。
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