2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学量論組成と調和融解組成を同時に実現する究極のニオブ酸リチウム組成
Project/Area Number |
22656141
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
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Keywords | ニオブ酸リチウム / 化学量論 / 調和融解組成 / 不純物 / 空格子 / 非線形光学効果 / 第二高調波 |
Research Abstract |
ニオブ酸リチウム(LiNbO_3:LN)は、調和融解組成(c-LN)と化学量論組成(s-LN)は一致しない。育成にはc-LNが良いが、結晶品質はs-LNが良い。我々は、19世紀初頭にドルトンが提唱した「化学量論」の本質を根本的に見直し、あえて不純物であるMgと電荷中性に必要な欠陥である空格子点を導入し、化学量論の概念を拡張した。その結果、昨年度の実績として化学量論で調和融解点となる組成、cs-MgO:LN((Li_<0.906>Mg_<0.047>V^<Li>_<0.047>)NbO_3を見出した。本年度はこの組成の結晶を育成し、その非線形光学効果を測定することにより同結晶の他の非線形光学結晶に対する絶対的優位性を示した。具体的な研究実施内容は以下の通りである。 (1)cs-MgO:LN組成の融液から引き上げ法で同一組成を持つ1インチ径×50mm長の結晶育成法を確立した。 (2)cs-MgO:LN、c-LN、s-LNおよびc-LNに5%のMgOを添加した4種の結晶のX板を用意した。次にNd:YAGレーザーにパラメトリック発振を付加した波長可変レーザーをこれらX板に照射し第二高調波を発生させた。位相整合波長のX板面内分布から結晶の組成均質性を、また、第二高調波の強度から波長変換効率を求めた。 (3)その結果、cs-MgO:LN結晶は、他の結晶に比べ著しい組成均質性を示し、また、変換効率もs-LNやc-LNに5%のMgOを添加した結晶に比べ遜色の無い高い値を示した。 一方、cs-MgO:LN組成において結晶および融液のすべての要素の活量が1であることが同結晶の化学量論性と調和融解性の同時発現に繋がることを結晶化起電力がs-MgO:LNおよびc-ZnO:LNでは0とならずcs-MgO:LNにおいて唯一0となることにより証明した。
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Research Products
(9 results)