2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ニッケル表面のプロトン伝導性の発現とそのエレクトロクロミック素子への応用
Project/Area Number |
22656142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
喜多 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343145)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / イオン伝導 / 欠陥準位 / 酸化物 |
Research Abstract |
前年度までに,水素添加したイオン伝導性Ta2O5薄膜の電解質応用について検討してきたが,今年度はアプローチを変え,このようなイオン伝導性酸化物を強磁性体薄膜スタックの中に組み込み,新しい機能を持つ磁性デバイスを開発することを試みた。ここで注目したのは,強磁性体金属は,酸化物との界面で強磁性金属元素と酸素の結合に由来して,界面に垂直な磁化が誘起されるという界面磁気異方性である。本研究では,酸化物中の酸素イオン伝導を利用し,電界によって酸素空孔を界面近傍に蓄積,または界面から空乏させる操作を可逆的に行って,強磁性体-酸素間で生じる磁気異方性エネルギーを増減させるという新しい動作の実証を目指した。つまり外部電界のみで強磁性体の磁気異方性を変調できるという新しいスピントロニクスデバイスの可能性である。既往の強磁性体CoFeB薄膜を用いた垂直磁化形成には殆どの場合,トンネル磁気抵抗効果の期待できるMgOが用いられてきたのだが,本研究ではまずAl2O3,Y2O3やZrO2等の種々の酸化物の適用可能性を検証した。その結果,界面磁気異方性の観点ではMgOと同等の効果が観測されることを見出し,且つ,外部電界による異方性の僅かな変化の観察に成功したが,これは揮発的な動作のみであった。そこで次に,Tiを低酸素分圧雰囲気化で酸化してつくるTiOx層とCoFeBを連続成膜した素子に数MV/cmの電界を加えたところ,電界による磁気異方性の変化は,電界を開放した後も不揮発的にその状態を保持していることを見出した。これは,酸素イオン伝導性の酸化物とCoFeBの界面近傍における酸素空孔濃度が電界によって変調され,しかもその効果がメモリー動作をしているものと解釈でき,これは磁気イオニクスデバイスという,新しいイオン伝導性酸化物の応用の可能性が期待できる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)