2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属表面機能開拓のための酵素/ナノポーラス金属電極の創製
Project/Area Number |
22656155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬渕 守 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (00358061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕美 豊橋技術科学大学, 研究基盤センター, 准教授 (00319500)
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Keywords | 構造・機能材料 / ナノバイオ / 表面・界面物性 / 酵素反応 |
Research Abstract |
自己組織化単分子膜(SAM)修飾を施したナノポーラスAu上に酵素(ラッカーゼおよびグルコースオキシダーゼ)を固定し、これらの酵素の電気化学的安定性をサイクリックボルタンメトリにより測定した。その結果、まずSAMそのものが平滑面Au板に比べナノポーラスAuにより安定に吸着することがわかった。また、SAM修飾のないナノポーラスAuに比べ、SAM修飾を施したナノポーラスAuでは固定した酵素のより多くの部位での酸化還元反応を促進できる可能性が示された。金(111)表面にチオール分子を吸着させた原子モデルを用いた第一原理計算の結果、ナノポーラスAu表面の原子オーダの欠陥が電子の授受に影響し、SAMが安定化し、さらには酸化還元反応が促進されていることが示唆された。さらに、上記二種の酵素固定化SAM修飾ナノポーラスAuを電極として用い酵素燃料電池を試作し性能評価を行った。試行段階の実験により、作動電圧0.21Vで最大出力0.052mW/cm2を得た。これは他の酵素燃料電池と比べ高い性能ではない。しかし、ナノポーラスAuは孔径や層厚等が自在に調節できる。これを鑑みれば、孔径やSAM分子種、ポーラス層厚の最適化によりもっと高い性能を発揮できると期待される。 以上を総括し、大表面積ナノポーラスAuが酵素固定基材として有用であり、酵素の熱・pH耐性を向上できること、またその固定特性にSAMによる表面修飾が大きく影響すること、さらには電子授受を伴う用途での酵素固定電極としてナノポーラスAuが有望であることを明らかにした。
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