2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656160
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森戸 春彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80463800)
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Keywords | 結晶工学 / マイクロ・ナノデバイス / シリコン |
Research Abstract |
今後のシリコン(Si)結晶の高機能化や新たな製品開発において、従来にない多様な形態や組織を有するSi結晶が求められている。そこで本年度は、作製条件を制御して様々な形態や組織のSi繊維を作製することを目的として研究を進めた。 本手法ではナトリウムシリコン化合物(NaSi)の圧粉体を800℃で加熱することでNaを蒸発させSi繊維を作製していた。そこで、加熱温度を変えることでSi繊維の組織制御を試みた。700℃で加熱した場合は、Siクラスレート化合物の粉末が生成し、900℃の加熱においては、Si結晶が粒成長して粒状結晶になってしまい、800℃以外の温度ではSi繊維を得ることができなかった。NaSi化合物の融点が798℃であることから、シリコン繊維を作製するには融点以上の温度で加熱する必要があるが、温度が高すぎると結晶が粒成長しすぎて繊維状に成長しないと言える。800℃の加熱においては、昇温時間がSi繊維の生成に及ぼす影響を調べた。800℃/hで800℃に昇温した場合ではSi繊維が生成したが、400℃/hで昇温した場合にはSi繊維が得られなかった。これは400℃/hで昇温した場合は、昇温過程でNaが蒸発し始め、結晶が十分に粒成長するのに必要な融液が得られなかったためだと考えられる。以上のことから、Si繊維を得るためにはSi結晶の粒成長がある程度必要であることが明らかになった。Si繊維の組織制御を行うことはできなかったが、Si繊維の生成メカニズムが明らかになってきた。今後はこの知見をもとに、Si繊維の組織制御を試みる。 また、原料にGeを添加して太陽電池などに期待されているSiGe繊維を作製することも試みた。その結果、未だSiGeは得られていないものの、原料であるNaSiGeを生成することに成功した。今後はこの試料を原料にしてSiGe繊維の作製も試みる予定である。
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Research Products
(16 results)