2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーテクスチュアリング法による自己複合化組織の創製
Project/Area Number |
22656167
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柴柳 敏哉 富山大学, 理学研究部(工学), 教授 (10187411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 雅裕 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (90273713)
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Keywords | A2024Al合金 / ファイバーレーザ / 局所加熱 / 再結晶 / パターニング / 曲げ試験 / 異方性 / 析出物 |
Research Abstract |
最大出力100Wクラスのファイバーレーザ発振器とレンズ、ミラーを組み合わせて焦点位置での最小径が3μm程度の集光能力を有するレーザ局所加熱システムを設計・製作し、それによるA2024-T3アルミニウム合金板への局所組織制御を試み、レーザ局所熱処理を施すことで同一素材でありながらあたかも複合材料であるかのような力学的異方性を有する素材を創出することに世界で初めて成功した。 供試材としてA2024-T3アルミニウム合金板(1mm厚)を採用し、機械研磨法により試料表面を所定の性状に調整してレーザ照射実験に供した。レーザ照射は数種類の出力(ビーム強度)を適宜選択し、最大10秒間までの範囲で照射時間を変化させた。照射部の組織は試料断面ならびに表面を観察対象とし、照射後に機械研磨ならびに化学腐食処理により組織を調整して光学顕微鏡法ならびにSEM-EBSD法で観察・解析した。力学特性評価として曲げ試験法を採用し、試験時のストロークと荷重を記録して最大曲げ荷重により異方性を評価した。 照射部の熱影響領域は加工組織中に出現する再結晶領域の大きさにより推算したが、試料表面で直径約300μm程度の範囲で、深さ方向には最大深さで200μm程度の湾曲した半球領域であることを実験的に確認した。この結果を踏まえて、縞状にビームをスキャンする際の縞間隔を設定し、幅5mm、長さ10mmの範囲で数本の縞状のパターンでレーザ照射を施した。なお、連続照射時には熱伝導問題により溶融現象が生ずるため、スポット照射位置をずらしながら擬似的に線上の照射結果と同等の組織を得るようにした。 縞状パターンによるレーザ熱処理材を室温曲げ試験に供したところ、曲げ方向が縞方向に平行な場合は垂直な場合に比べて最大30%程度最大曲げ荷重が大きいという結果を得た。すなわち、レーザ局所加熱により素材の析出物が再固溶される領域が周期的に縞状に生成されることが原因となり、単一素材に曲げ強度の異方性が発現することが実証された。
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Research Products
(2 results)