2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイズ排除と吸着の機能を併せもつ2色アイス型ポリマーブラシ搭載多孔性膜の作製
Project/Area Number |
22656174
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90158915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 太輔 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00400812)
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Keywords | 多孔性材料 / 電子線グラフト重合法 / 接ぎ木高分子鎖 / 親水性基 / アフィニティリガンド / カルボキシベタイン / タンパク質 / 吸着 |
Research Abstract |
私たちの研究グループは,高分子製の多孔性の中空糸膜やシート(いずれも空孔率70-80%,孔径0.2μm程度)に,電子線グラフト重合法を適用して,高分子鎖(以後,グラフト鎖と呼ぶ)を接ぎ木してきた。このグラフト鎖の上部と下部に,それぞれ異なる官能基を導入して機能の分担をさせるという新しいアイデアに基づいて材料を作製した。この材料の用途の一つは,尿中でタンパク質を排除して,微量の金属イオンを捕捉することである。グラフト鎖の上部にタンパク質を排除する親水性基を,下部に対象イオンを捕捉するアフィニティリガンドを導入した。 本年度は,多孔性中空糸膜にグラフト鎖として,エポキシ基を有するポリグリシジルメタクリレート鎖を付与した。その後,親水性基を導入するため両性電解質(カルボキシベタイン)と反応させた。モデルタンパク質としてリゾチームを選び,その吸着容量から,タンパク質の吸着をこれまでの高分子材料に比べて1/10程度まで抑制できることを実証した。つぎに,アフィニティリガンドとしてキレート形成基を多孔性中空糸膜に付与したグラフト鎖に導入し,ガリウムイオンを結合させ,そこにリン酸チロシンというイオンを特異的に捕捉できることを実証した。次年度から,これらの知見を活かしてグラフト鎖の上部と下部にそれぞれ異なる官能基を導入して機能の役割分担を行い,尿分析での性能を実証する。
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