2011 Fiscal Year Annual Research Report
流脈線ローブのダイナミクスに基づく3次元流体混合機構の解明
Project/Area Number |
22656176
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 義朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30093371)
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Keywords | 流体混合 / 混合機構 / 流脈線 / 流脈面 / 鋳型 / 写像 / 可視化 / 流脈線ローブ |
Research Abstract |
撹拌操作は化学プロセスにおける主要な単位操作のひとつとして古くから研究されてきた.その一方ではミキシングに理論無しとも言われてきた.その主要な原因として,第1に流体混合現象が肉眼で容易に観測できるため,安易で直感的な解釈が行われていたこと,第2に(流跡線や流線で表現される)流体物質の動きと,流体中に現れるパターンの動きとを同一視し混同してきたこと等が挙げられる.本研究の目的は,非線形ダイナミクス理論に立脚した3次元撹拌槽内の層流混合の理論的構造を,力学系の数学的理論と実験による可視化測定の両面から明らかにすることであった.撹拌翼の先端から流出する着色液によって形成される流脈線や流脈面が,時間的に不変な混合の鋳型となること,流脈線やその集合体としての流脈面の屈曲化と折り畳み変形の反復が複雑な混合パターン生成する主要因であること,周囲の流体と混合しにくい孤立混合領域が出現する理由などを明確に示した.また,初期パターンに依存して様々な混合パターンが出現する可変性と,流れ場が指定された時点で確定する不変性すなわち混合の鋳型との関係を明確にした. これにより,従来までケース・スタディ的な域を出なかったミキシング理論に代わる新しい理論を提示した.それと同時に,従来のミキシング研究における誤った点を指摘するとともに,ミキシング現象の変質を把握するための新しい実験手法の開発と新しい数値解析法のあるべき姿を提示した.さらに,本混合理論の応用として,新しい撹拌翼の提案,新しい邪魔板の形態と設置方法を提案した.また,混合の現場では長い間謎とされてきた大型撹拌翼の代表であるマックスブレンド翼[○!R]が高い混合性を示す理由を本混合機構を用いて初めて明らかにし,その有効性を示した. 本研究で提示した層流混合理論と流脈線や流脈線に基づく実験的解析法は,これからの流体混合の研究ならびに応用における標準理論となると考えられる.
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Research Products
(14 results)