2010 Fiscal Year Annual Research Report
光フェントン型反応とフェライト触媒による有機汚染物質の水中での完全酸化分解
Project/Area Number |
22656182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 浩行 京都大学, 環境保全センター, 准教授 (40263115)
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Keywords | 廃水処理 / フェントン反応 / 酸化分解 / 触媒 |
Research Abstract |
本年度は、フェライト触媒の調製法の検討および実際にフェノールの分解に適用し、その分解特性を評価した。フェライト触媒の調製方法としては、Fe(II)とFe(III)を含む水溶液をアルカリ条件下で共沈させる共沈法とFe(II)を含む水溶液をアルカリ条件下で酸化させる湿式酸化法があげられる。ここでは、湿式酸化法でのフェライト触媒の調製を試みた。0.1MのFeSO4と触媒金属となるCu、Mn、Ni等のイオンを1000~2000mg/L含む溶液を原料とし、ほぼすべての触媒金属をフェライト内に取り込ますことができる条件を検討したところ、空気でバブリングしながらpH=9-10で保って65℃で1h反応させればよいことがわかった。このようにして調製したフェライト触媒を、100mg/Lのフェノール水溶液に100-400mg/Lの濃度で触媒を仕込み、過酸化水素を加えて光を照射しながら反応させた。その結果、NiフェライトおよびCuフェライトにおいて、2時間程度でほぼすべてのフェノールが分解した。特にCuフェライトについては、UVを照射しなくてもフェノールの分解が進行した。完全酸化分解率の指標となるTOC(全有機炭素)除去率を見てみると、Niフェライトの場合は低かったが、Cuフェライトの場合は、UVを照射しなくてもTOC除去率は時間とともに高くなり、4時間で0.5程度になった。そのため、さらに反応時間を長くしたところ、24時間でTOC除去率が0.7を超えることがわかった。Cuフェライトの量による影響を見てみると、100mg/Lではやや遅かったものの200mg/Lおよび400mg/Lはほぼ同程度の分解速度を示した。このことから、フェノールの完全酸化分解にCuフェライトが非常に有効であることがわかった。
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