2011 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の骨格構造表面を模擬した土粒子非付着性材料の開発と重機への応用に関する研究
Project/Area Number |
22656201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 弘 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (90188045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 秀輝 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10396468)
須藤 祐子 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (70344687)
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Keywords | ネイチャーテクノロジー / 非付着性材料 / 骨格構造表面 / 接触角 / 付着力 / 付着量 |
Research Abstract |
本研究では、近年自然の賢さを活かしたもの作りとして注目を集めているネイチャー・テクノジーの概念を活用して、土が付着しない非付着性材料を開発し、その材料を建設機械や開発機械の作業ツール(バケットや土砂混合装置等)に適用して、建設機械の作業能力の向上に貢献することを目的とし、土と材料(金属、昆虫外皮)との付着特性を実験的に検討した.本研究の成果を以下に示す. 今年度は、縦方向および横方向の表面粗さパラメータ(算術平均粗さ、凹凸の平均間隔)を使って、表面形状を三角形と仮定した場合の粗さ指数を新たに求めた.そして、その表面粗さ指数と付着実験(SUS420J2、カブト虫の外皮、笠岡粘土を使用)の結果を総合的に検討した.付着実験の結果より、土が高含水状態となった場合は、表面粗さの影響を大きく受け、表面粗さ指数が大きくなると付着力は増え、付着量は減ることが確認された.カブト虫の外皮はくぼみ構造により、付着量はSUS420J2よりも大きくなったが、付着力はSUS420J2よりも小さくなることを推定することができた.今回の結果は、材料表面の接触角(ぬれ性)と関係しており、表面粗さ指数が大きくなると接触角は大きくなる、つまり疎水性となることが確認された.以上より、材料表面の接触角(ぬれ性)は土と材料の付着特性を検討する際の重要なパラメータになることが分かった. なお、本研究では粘性土と材料の付着特性を実験的に検討してきたが、実験装置に粘土と材料をセットするときの影響によって、実験結果にばらつきが見られた.そこで、結果のばらつきを抑えるため、材料が粘土から引き離すときに初めて力がかかるような装置に改良した.その結果、以前の装置よりも安定した実験結果を得ることができ、これまで得られた結果と同じ傾向を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではネイチャー・テクノジーの概念を活用して、土が付着しない非付着性材料を開発し、その材料を建設機械や開発機械の作業ツールに適用することを目的として、粘性土と材料(金属および昆虫外皮)の付着特性を検討するために付着実験を行い、表面粗さ、ぬれ性、付着量、付着力を総合的に考察できたという理由から、本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では土と材料の付着特性を実験的に検討し、土が高含水状態の場合では表面粗さが大きくなると付着力は増え、付着量は減るという結果が得られている.そして、カブト虫の外皮はくぼみ構造により、付着量はSUS420J2よりも大きくなったが、付着力はSUS420J2よりも小さくなることを推定できている.今後は土の種類を増やすとともに、土と昆虫外皮の付着力を実際に測定して、土が付着しない非付着性材料を開発するためのデータを蓄積し、土と材料の付着特性について議論を進める予定である.
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Research Products
(5 results)