Research Abstract |
本研究は,2年間の予定で実施し,初年度は,液晶モニターの熱的挙動を把握するために,液晶モニター(パソコン用)を対象として,それの解体を行い,液晶パネルを取り出し,これを試料として使用した.取り出した液晶パネルを取り扱いやすいように切断し,その後,熱分析を行い,高分子膜の熱的挙動を把握し,分解温度を明確にした.さらにガラスと透明導電膜の熱膨張係数を測定し,ガラスと透明導電膜では,それに有意な差があることが判明した.2年度目は,実際に加熱して透明導電膜の分離・回収を試みた.回収した透明導電膜の粉末X線回折により分析を行った.その結果を見ながら,加熱温度・加熱時間の最適化を試みた. 1)液晶パネルを高分子膜の分解温度以上でガラスが軟化する温度以下で加熱し,透明導電膜の回収を試みた.液晶パネルはカラーフィルター側とTFT側に液晶を挟んで分けることができ,それぞれを30分間600度で加熱した.加熱のみでは,ITOはガラス基板から分離することができなかったため,加熱後に水槽に入れ急冷した.その結果,水中でカラーフィルター側から粉末が剥がれ落ち,分離できることが確認できた. 2)液晶パネルを加熱し,冷却後分離した粉末を粉末X線回折で分析した結果,ITOのみのピークが観察され,純度が高いことがわかった. 3)加熱温度,加熱時間に関して検討した結果,加熱温度は,400~600℃,加熱時間は1分以上必要であることがわかった.加熱後・急冷するまでの時間も重要で1分以内に急冷するとITOの回収率が向上することがわかった.
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