2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22657010
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
高橋 亮 国立遺伝学研究所, 総合生命科学部, 助教 (50342811)
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Keywords | 集団遺伝 / 生態群集 / 生物進化 / 遺伝変異 / 種間相互作用 / 確率モデル / 遺伝浮動 |
Research Abstract |
群集進化理論を集団遺伝学の側面から補完することを目的に,種内変異存在下の確率的な群集動態を記述する進化モデルの構築を進めた. 1, 確率微分方程式モデル(A)の定式化:対立遺伝子頻度変化の拡散理論を基に二種系の確率的な進化動態を近似的に記述する確率微分方程式モデルを構築し,数値的に解析した.二種間の集団サイズの違い,世代時間の違いが大きい場合を重点的に解析し,特に世代時間の違いが大きいと,時間軸を世代時間の短い種に合わせて細かいグリッドに分割する必要があり,全体の計算時間が非常に長引く実践上の問題が生じることを明らかにした. 2, 離散時間モデル(B)の定式化:拡散理論を基に二種系の確率的な進化動態を近似的に記述する離散時間モデルを構築し,数値的に解析した.拡散モデルの下では時間軸の尺度を変換する簡単な関係式が成り立つことを利用し,世代時間の異なる二種の同時進化を,旧来的な離散世代モデルで近似した. 3, モデル(A)-(B)の解析結果を対比し,計算に要する時間や解析の精度を指標に,各モデルが近似的に有効なパラメータ領域の検討を進めた.これまで検討した範囲では,モデル(B)の方がシミュレーションの効率性の面では優れている結果だが,モデル(A)については時間軸の分割に関して効率化の余地がまだ残されていると予想されることから,今後,更なる検討が必要である. 4, 出生-死亡モデル(C)の定式化:モデル(A)-(B)に加え,単純な確率過程理論に基づく進化モデルの構築に新たに取り組み,その予備的な解析を開始した.
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