2011 Fiscal Year Annual Research Report
基部陸上植物苔類ゼニゴケを用いた順遺伝学研究手法の確立
Project/Area Number |
22657013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
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Keywords | 苔類 / ゼニゴケ / 比較ゲノム / モデル植物 / 陸上植物進化 / 遺伝地図 / T-DNAタギング / 遺伝子ターゲティング |
Research Abstract |
植物の比較ゲノム解析と分子遺伝学研究の融合を目指し、陸上植物基部に位置する苔類ゼニゴケを用いた順遺伝学実験の基盤整備を行った。ゼニゴケは生活環の大半を半数体で過ごすため、突然変異体の分離や解析に適している。EST解析によって遺伝的冗長性が低いことが予想されていた。次世代シーケンサーによるゲノム解析を進め、遺伝子重複が少ないこと、特に、調節因子の冗長性が極めて低いことがわかった。その一方で、陸上植物として基本的な遺伝子はほぼ有しており、陸上植物の発生や環境応答の研究にゼニゴケを用いた順遺伝学の有利であることが支持された。遺伝地図作成に用いた分子マーカーとゲノム配列情報の統合を進めた。その結果、すべてのマーカーがゲノムコンティグやスキャフォルドにマップされた。また、ゲノム支援によって得られた北白川株のゲノム情報をもとにDNA多型を網羅的に検出した。遺伝地図の高密度化の基盤を得た。分離後代(ゼニゴケは半数体なのでFlを使用)に対する配列決定を用いて高密度遺伝地図を作成することにした。また、ゲノム情報から迅速に作成したコンストラクトを利用して、相補性検定による遺伝子同定を実施した。表現型をもとに分離した形態や環境応答の変異体の原因遺伝子を相補性検定によって同定した。計画したphot変異体の分離同定に成功した。オーキシン耐性株は温度感受性変異体として単離する予定であったが、通常の培養温度においても耐性を示す株が多数分離できたため、その原因遺伝子同定を進めた。その結果、複数の変異体に対する遺伝子同定に短期間に成功した。研究計画の後半で実施予定のマルチコピーサプレッサー手法の導入は、UTR配列が長いといった課題があり、アクチベーションタグ法が簡便との判断に至った。以上のように、変異体の分離と原因遺伝子同定法は基本的には確立し、当初の計画を達成できた。
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