2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22657015
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
田坂 昌生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90179680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打田 直行 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40467692)
|
Keywords | Rタンパク質 / UNI / サリチル酸 / 2重鎖切断 |
Research Abstract |
シロイヌナズナの半優性変異体uni-1Dは、π遺伝子であるUNI遺伝子に機能獲得型変異(uni-1D変異)を持ち、抵抗性関連遺伝子の発現の顕著な上昇など感染応答反応を示す。これまでに、uni-1DをDNAにダメージを与えるEMSで処理すると、元々のuni-1D変異に加えて別の変異が異常に高頻度にUNI遺伝子上に導入されることを見いだしてきた。そこで、この現象に関する更なる知見を得るために、今年度はまず、EMSと同様にUNI遺伝子に高頻度の変異を誘発する能力を持つ他の薬剤を探索した。その結果、DNA二重鎖を切断するZeocinと、DNA複製ストレス作用をもつヒドロキシウレアが、それぞれUNI遺伝子の配列に変化を促した。EMSとZeocinはともにDNAに直接作用する物質なので、UNI遺伝子座は化合物がアタックしやすい環境にあると想定され、そのクロマチン構造の状況など今後解析を進めていく。また、ヒドロキシウレアはDNA修復系の活性を低下させるので、UNI遺伝子はDNA修復系の活性低下に敏感な状態にある可能性が提起される。クロマチン状況やDNA修復系に対する感受性というものが、UNI遺伝子を含むR遺伝子群の多様性構築という事象の基盤である(あった)かどうか、分子機構の観点からも進化的な観点からも興味深い。また、uni-1D変異体では、感染応答反応としてサリチル酸経路が活性化しているが、本研究の視点であるUNI遺伝子で観察される高頻度の変異誘発現象においてサリチル酸経路が関わるのか、を検証した。サリチル酸経路を活性化できない変異体背景のuni-1D変異体では変異誘発頻度が低下した。しかし、頻度は低下するとはいえ依然として変異は誘発されたことから、サリチル酸経路が変異誘発システムの必須構成要素ではないものの、その活性を調節する仕組みには組み込まれていることが想定される。
|
Research Products
(4 results)