2010 Fiscal Year Annual Research Report
給餌時刻を予知するメタボリック・オシレーターの発掘
Project/Area Number |
22657020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Keywords | 脳・神経 / 摂餌 / サーカディアンリズム / 動物行動 / 時計遺伝子 / 視床下部 / 体内時計 / CRY |
Research Abstract |
一日の中で休息期の短い特定の時間帯だけに食餌を与える「制限給餌条件」で動物を飼育すると、活動期でないにもかかわらず給餌時刻の少し前から行動量が顕著に上昇する。この予知行動リズムは、最低限の食餌を確保するために作動する神経機構であり、既知の時計機構とは全く異なる体内計時システムの存在が想定されている。本研究では、このメタボリック・オシレーターの分子実体に迫ることを目的といている。本研究を遂行するにあたり、マウスに給餌以外の刺激を与えることなく、様々な周期で制限給餌を行う必要がある。本年度はまず、このような厳密な制限給餌実験を行うための装置として、作動モーターから発生する熱や音を大きく抑制した間欠駆動機構を設計および作製した。これを、プログラミングタイマーと接続することによって給餌間隔を自由に調節できる自動給餌装置を開発し、現在、特許申請中である。さらに、この装置を駆使してマウスが同調可能な制限給餌の時間間隔の限界幅を調べた。その結果、恒暗条件において短周期の行動リズムを示すCry1-KOマウスは、長周期のCry2-KOマウスに比べて給餌間尋隔の限界幅が短い方向にシフトしていることを見出した。これと並行して、単一細胞可視化システムを用いたマウス脳領域における発光リズム測定系を立ち上げた。この過程において、摂餌時計の中枢であると考えられている視床下部内側基底部(MBH)が神経細胞の培養用サブリメントB27に応答し、その内在性の概日時計の位相がリセットすることを見出した。B27は血液中に存在する一群のホルモンや生理活性物質が含まれており、これらは視交叉上核や肝臓の発光リズムに対しては時計同調効果を持たないことから、B27に含まれる何らかの因子がMBHに対して特異的に作用して位相を制御し得ると考えられた。
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Research Products
(6 results)