Research Abstract |
昨年度外注に出したRocheGSFLX+から得られたリードをNewblerでアセンブルさせた。しかし,得られたリードの約9割に2-4塩基の重複配列を多数含むリードが見られ,アセンブル開始から2週間経っても,アセンブルの進捗が見られなかった。そのため,解析に出したサンプルをこれ以上シークエンスしても全ゲノム解析に使えるサンプルが得られないと判断し,解析を中断した。得られた残りの約1割の配列について,BLASTxにて相同検索した結果,細菌・ウイルス由来の配列や後生動物・ストラメノパイル・アルベオラータなどの配列にヒットした。細菌やウイルス由来の配列に関しては,ハテナ細胞内に含まれていた生物由来だと考えられる。また,それ以外の真核生物にヒットした配列に関しては,データベース上にハテナに近縁な生物由来の配列がないため,様々な分類群の配列にヒットしたと考えられる。 ハテナ複数細胞では,細菌やウイルスをはじめ,共生藻の配列を除くことができない。そのため,ハテナの核のみをマイクロマニュピレーターで単離し,同様に全ゲノム増幅をさせた。しかし,核のみを単離しても,クオリティチェックのためのハテナ18SrDNAの増幅が見られなかった。 これらの結果から,ハテナにおいては細菌やその他の原生生物で行われているようなシングルセルからのゲノム増幅は難しいことがわかった。これは,細胞から核のみを単離した場合でも同様だった。ハテナ複数細胞からの全ゲノム増幅では,ハテナ由来と思われる配列を取得することに成功したが,得られた総リードの多くが2-4塩基の重複配列であり,今後は全ゲノム増幅の際のさらなる条件検討が必要である。
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