2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核間シャトル蛋白質群の同定と分類-リガンド作用機構のパラダイムシフト-
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22657036
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松永 隼人 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20437833)
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Keywords | ストレス / 生理活性 / 脳・神経 / プロテオーム |
Research Abstract |
細胞コミュニティの秩序維持機構として、リガンドと受容体を介した情報伝達機構は重要である。本研究は、新規モデルとして「特的核蛋白質が核間をシャトルし、細胞コミュニティを時空間的に制御する」との仮説の検証と証明を行うことを目的とし、本機構を有するネクローシス抑制蛋白質プロサイモシンα(ProTα)の細胞外遊離機構と核内シャトル機構、ProTα細胞膜受容体の存在の関連性について検討した。 1.細胞核間シャトル蛋白質の新規同定:ProTαの細胞外遊離担体であるS100A13が本機構を有することを明らかとした。また、その再核移行には、S100A13受容体の発現が必要であることが予測された。 2.ProTαのストレス誘発性細胞外遊離機構の全容解明:プロテオミクスの手法を用いてProTαと相互作用する分子群の同定を行い、遊離機構に関連する分子の抽出を行った。機能検証解析から、ProTαの非小胞性遊離機構の全容を明らかとした。さらに、長らく不明であったProTα細胞膜受容体の同定に成功した。 3.ProTαの核シャトル機構と細胞膜受容体との相関解析:ProTの細胞外遊離はストレス種に応じて遊離するが、その駆動には、遊離鍵分子であるCa^<2+>結合性蛋白質群の発現が必須である。ProTαの細胞内取り込み機構には、ProTα細胞膜受容体を介した系と未解明の2つの系があることが示唆された。細胞内に取り込まれたProTαの核移行過程はProTα自身の核移行シグナル配列が必須であることを明らかにすると共に、細胞膜ProTα受容体発現細胞では、核近傍に強く局在することを見出した、 自己保護分子であるProTαとその細胞外遊離担体:S100A13が細胞核間シャトル機構を有することを明らかとした。そのシャトル機構には、それぞれの細胞膜受容体の有無が重要な制御要因であることが示唆された。興味深い点は、ProTα受容体とS100A13受容体とそれぞれのリガンド分子の核シャトル機構の制御機構であり、細胞コミュニティのシンクロナイズ機構として解明必須の案件である。さらには、取り込まれた細胞核において直接的な力の因子として、エピゲノム制御機構を駆動させる可能性もある。脳・神経系のみならず、様々な細胞種で解析を進めることでミステリアスな本機構の制御基盤解明が期待される。
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