2011 Fiscal Year Annual Research Report
相同的組み換え蛋白質を用いた新しい核内ゲノムマッピング法の開発
Project/Area Number |
22657044
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
前島 一博 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00392118)
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Keywords | 核酸 / ゲノム / 生体分子 |
Research Abstract |
核内におけるゲノムDNAの配置が遺伝子の転写に関わることが示唆されており、近年、核内でゲノムを3次元的にマッピングする技法の需要が高まってきている。核内でのゲノムのマッピングする技術は現在のところfluorescence in situ hybridization(FISH)によるところが大きいが、FISHでは核に対して塩酸処理、プロテアーゼ処理などの多くのプロセスを要することから正確な核内の立体構造を保持できているかということが懸念される。そこで、なるべく生細胞に近い条件で核内のゲノムをマッピングする手法を開発することが本研究の目的である。 当該年度では、相同的組み換え蛋白質を用いて、50塩基程度のプローブで核内マッピング可能なシステムの開発をおこなった。昨年度の研究で、申請者は大腸菌の相同的組み換え蛋白質RecAを用いていたが、RecAを用いたゲノムマッピングではバックグラウンドのシグナルが高くなるという問題が生じた。そのため、当該年度では、アフリカツメガエルのホモログ蛋白質Rad51を用いることでプローブのターゲッティングを向上させることを試みた。用いるDNAプローブも、テロメアリピート配列に加えてαサテライト配列を蛍光色素Cy3でラベルし、組み換え蛋白質との複合体を形成させることにより核内ゲノムをマッピングできるかどうかを検討した。その結果、Rad51にHisタグを付加したもの、およびタグを付加していないものについて大量発現系を構築し、Rad51の精製蛋白質を得ることに成功した。しかしながら、相同的組み換え蛋白質をRecAからRad51に変更してマッピングを行った場合にも、非特異的なプローブの結合が依然高い頻度で発生するため、ターゲットとする領域を明確に検出することができなかった。そこで、現在、プローブにN-メチルピロール・N-メチルイミダゾールポリアミドを用いることでターゲッティング効率を向上させることの検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究を遂行するために必須である相同性組み換え蛋白質、アフリカツメガエルRad51の大量発現系を構築し、精製蛋白質を得ることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Rad51を用いたゲノムマッピングでは非特異的シグナルが検出されるという問題が生じた。この問題に対し、プローブにN-メチルピロール・N-メチルイミダゾールポリアミドを用いることでターゲッティング効率を向上させることを検討する。N-メチルピロール・N-メチルイミダゾールポリアミドは、DNA二重らせん構造のマイナーグルーブに塩基配列特異的に結合する人工DNA分子である。これらのポリアミド類はPNAの各塩基対と特異的な水素結合を介して結合するので、ピロール・イミダゾールの配列を換えることにより配列認識能を制御することができると期待できる。
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