2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22657049
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩楯 好昭 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40298170)
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Keywords | ゾウリムシ / 繊毛 / 細胞骨格 / 鞭毛 |
Research Abstract |
気管や胚、ゾウリムシなどの単細胞生物は多数の繊毛を持つ。繊毛は1本1本が独立して運動しているにも関わらず、集団として見ると全繊毛は一糸乱れぬ秩序を保ちながら同じ方向に動く(メタクロナールウェーブ)。この秩序形成には外部からの制御は不要で、繊毛同士の相互作用から自律的に形成される。 本研究の目的は、繊毛集団がメタクロナールウェーブを形成するメカニズムを、ゾウリムシを材料に、高度な顕微鏡観察と数理モデルのシミュレーションを用いて解明することであった。 個々の繊毛が発生する水流は、当然、隣の繊毛に伝達する。この隣りあう繊毛どうしの水流を介した機械的な刺激が信号となって、繊毛群は強調して打ち、メタクロナールウェーブが形成されると考えられてきた。 本年度、(1)繊毛の生み出す水流を一部人為的に乱し、その見だした箇所をもメタクロナールウェーブが伝播することを見出した。これはメタクロナールウェーブ伝達に水流以外の媒介があることを示している。そこで、(2)細胞膜を人為的に一定周波数で伸縮させてみると、メタクロナールウェーブの周波数は細胞伸縮の周波数に引きこまれた。これは澗胞表層部の伸縮が、メタクロナールウェーブの嘩礁介していることを示している。さらに、(3)共同研究者(Chiam Keng Hwee, シンガポール国立大学)との研究により、水流だけでなく、細胞表層の伸縮も媒介として取り入れたメタクロナールウェーブのモデルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゾウリムシを使って、メタクロナールウェーブ伝達のメカニズムを明らかにすることができた。これまでいわれていた水流だけではなく、細胞表層の伸縮が関わっていることが明らかにできた。モデルの作成やシミュレーションを行うことが目標であったが、それまで至ることができた。研究成栗として、現在、論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞表層の伸縮を媒介としてメタクロナールウェーブが伝達することがわかったが、その分子メカニズムについては全くわかっていない。ゾウリムシの細胞表層にはセントリンと呼ばれるタンパク質から成る収縮性の繊維が網の目のようになって存在することが知られている。セントリン細胞骨格がメタクロナールウェーブの伝達に伴って伸縮しているか、GFPなどを用いて蛍光染色し観察し、分子メカニズムを明らかにしたい。
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