2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22657059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
イン ベイウェン 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (90422401)
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Keywords | 発生 / 分化 / 進化 / 発現制御 / 遺伝子 / 微生物 / 大腸菌 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
細胞分化のプロセスにおいては、個々の細胞の表現型は比較的少数の誘導分子によって遺伝的に制御されているため、その変化、つまり分化は確率的である。一方で、細胞の集団レベルでは、様々に分化した細胞がある一定の割合に到達し、恒常的に維持される。この細胞分化の恒常性が細胞表現型の確率性と細胞間の相互作用によって創りだされることを実験と理論の両面で示す。細胞の種類によらない分化モデルから、多細胞の誕生に関する基本的ルールを明らかにすることを目指す。具体的には、分化能をもたない大腸菌に確率的な表現型の変化と細胞間相互作用の基本ステップだけを含んだ実験系を構築し、.定量的に細胞間相互作用の効果を明らかにすることを目的とする。H22年度では、分化する大腸菌細胞の実験的構築を目標とした。現在、遺伝子発現制御のPositive Feedback系を用いて、確率的な分化現象を創り出した。具体的には、LacIとTetRからなる二重フィードバック回路を大腸菌ゲノム上に構築し、表現型の多様性を作り出し、個々の細胞の確率な表現型の変化を模倣することに成功した。そして、恒常性をもつ分化集団を形成させるのにく大腸菌生存に必要な二種類の栄養素による相互作用を探索した。アミノ酸合成に関わる遺伝子(hisC,trpC,leuB,ilvE)を本来のオペロンから二重フィードバック回路に組み込み、ゲノム再編した。ここでの二重フィードバック回路はすでに設計したRFP-TetR→GFP-LacI回路を用いた。この構築を持つ大腸菌細胞の栄養要求性の表現型が確率的に変化を観測した。現在、大腸菌単独欠損株の共培養実験結果から、leuB(ロイシン)とilvE(イソロイシン)を利用した細胞間相互作用を用いた分化モデルの構築を行っている。これから、栄養を通した細胞間相互作用により、二種類の細胞集団がある割合で安定し、機能的に分化した細胞が共存することが可能かどうかを検証する。
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